2005年アメリカ 監督 ロドリゴ・ガルシア 出演 キャシー・ベイカー エイミー・ブレナマン エリピディア・カリーロ グレン・クローズ ダコタ・ファニング リサ・ゲイ・ハミルトン ホリー・ハンター アマンダ・セイフライド シシー・スペイセク ロビン・ライト・ペン
9人の女性達の、人生での1シーン。 ほんの短い、そう15分足らずの、長い人生の中の・・ほんの一瞬の時間を綴ったオムニバス・ストーリー。 長編よりも短編はなお難しい・・というのは、小説についての話の中でよく耳にする言葉だけれども、映像においてもこの短さの中でどれだけのことが伝えられるかというと、非常に難しいものがあると思う。 それなのに・・! ここに見える、この短い時間は、なんて見事に彼女達の置かれているもの、囚われているもの、そして望んでいるものを浮かび上がらせているのだろう。 交わされる会話、ひとつひとつの映像に彼女達のこれまでの人生を想像し、その表情からは目を離すことが出来ない。
9人の女性達は、どこか満たされないような、苦しんでいるような・・そう、痛々しい表情を浮かべている。 過去に囚われている人、現在に苦しんでいる人、微笑を浮かべていながらも心のどこかに痛みを抱えているかのように見えて。
9つのお話、どれも印象的だったけれど、やはり立場的(?)に一番共感を覚えたのは、夜のスーパーマーケットで昔の彼に出会ってしまった「ダイアナ」のお話だろうか。 あたりさわりのない話からさらっと別れるつもりが・・・「今も君を思っている」と告白され、どんどんと揺れてゆく彼女の表情。カートを押しながら、離れてみたり、戻ってみたり・・このあたりの見せ方がなんともいえない。 もう帰っては来ない、過ぎてしまった二人の時間の切なさ・・また出会ってしまったことで彼女の中に生まれた痛みは、きっとこれからも彼女の中から消えることはないのだろうけど。
痛みを抱える彼女達の、微笑が満面の笑みで無かったとしても。 それでも、人生には小さく輝くものや、光差すものがあるんじゃないかな・・そんなことを感じながらの9つのお話でした。
原題はNINE LIVES。 墓地にお墓参りに来た少女が「猫には9つの命があるの?」と聞くのは、グレン・クローズとダコタちゃんの登場する、最後のエピソードでした。 ダコタちゃんの愛らしさにすっかり微笑ましい気持ちになりながらも・・どこかちょっと不安を覚えていたら。(誰のお墓なんだろう・・そしてこの二人は親子にしては年が離れすぎてる・・!)
小さなお墓の上にそっと葡萄が乗せられたラストシーンに知らされたもの・・ グレン・クローズの笑みがあまりにも優しくて、その美しい表情には涙が止まりませんでした。
9人の女優さんたちの、それぞれの表情は本当に素晴らしかったですね。 どこかの映画祭で、9人全部の方に最優秀主演女優賞を授与したと聞きましたが、まさにそうですね!そうでなくては!!と納得しました。
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