| 2007年04月15日(日) |
「トゥモローワールド」 |
2006年アメリカ・イギリス 監督アルフォンソ・キュアロン キャスト クライヴ・オーウェン ジュリアン・ムーア マイケル・ケイン キウェテル・イジョフォー チャーリー・ハナム クレア=ホープ・アシティ
原作はP・D・ジェイムズの「The Children of Men」 西暦2027年のある日、世界は嘆きに包まれていた・・。 世界最年少の18歳の青年が殺されたニュースが町に流れる、18年間人類には子どもが誕生していなかったのだ・・
もっと遠い未来のお話かと思っていたのですけど・・2027年、まさに近未来でした。 子どもの生まれなくなった世界には、SF的な不思議感は見られず、そこにあった未来の世界は、あまりにも荒れ果てた・・戦いと絶望に溢れた場所でした。 銃弾の飛び交う荒んだ世界は、冒頭から私達をいやおうなしに、その世界の状況に引きずり込んでしまいます。 主人公セオが街角でコーヒーを買い、歩道でウィスキーをたらした・・その瞬間!から・・・ 思わず飛び上がってしまった・・そのシーンから最後までず〜〜っと目が離せない展開でした。 どこでどんな事が起るか、誰がどんな風に死を迎えてもおかしくない・・このリアルさ、非情さ。 生まれるものが何もなく・・失っていくものばかりの世界の怖さ。 でもここにクライブ・オーウェンがいることがなんだかとても嬉しかったんですよ〜、この映画にすごく似合ってる・・っていったらおかしいですけど。 どんなに疲れた目をしていても彼ならきっとどうにかなるんじゃないだろうか・・って。悲しい目も、眉間の皺も・・何かを思い出すような表情も・・とっても素敵でしたね。 足は痛そうでしたけど・・ 妻役のジュリアン・ムーアもとても印象的。(ビックリの展開だっただけによりいっそうに)
18年ぶりに誕生するこどもをめぐって・・の攻防にはよく分からないところもありましたが(だって不安じゃないですか・・あるかないか分からない人類救済組織とか・・)ただただ・・今巻き込まれている状況をなんとか切り抜けようとする・・セオにこちらも思わず同じ状況にいるような気持ちでずっと観ていましたよ。 銃撃戦の凄まじさなんて・・カットなしで撮ったという8分間の緊迫感、まるで自分もそこにいて・・人の中をかきわけて逃げてるかのように。 そして、そんな緊迫感の後の・・あの荘厳な静けさ。 赤ん坊の泣き声に・・銃を下し、感嘆し、畏敬の念とも思えるような・・なんともいえない目を向ける人々、まるで時間が止まったかのような、あのシーンは感動的でしたね。
セオとこどもの母親キー。そして彼らを守ろうとする人々・・セオの友人役ジャスパー(マイケル・ケイン)も良かったです・・うぅ。彼の家に滞在してたシーンだけが、ほっと癒されるシーンでしたね。 「どんな出来事にもなにかしら意味がある」 キーに付き添っていた助産婦の女性がこう言っていましたね。 人類に子どもが誕生しなくなった原因については最後まではっきりと明かされませんが・・どんな出来事にも意味があるものなら・・これは人類への警鐘なのでしょうか・・。そして生まれてきた、この新しい命がもたらすものは・・
最後まで、目を奪うような・・・派手な映像は見せることもなく(銃撃戦は十分に圧倒的でしたけど)・・迎えたラストシーンの見せ方も良かったと思いました。 海に浮かぶ小さなボート、 霧の向こうに見えるものは・・・
人類に明日は、あるのでしょうか・・
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