| 2007年03月30日(金) |
「BARに灯ともる頃」 |
1989年イタリア 監督 エットーレ・スコラ キャスト マルチェロ・マストロヤンニ マッシモ・トロイージ アンヌ・パリロー
小さな港町。 兵役についている息子のもとに父親が訪ねてくる。 久しぶりに会う親子の二人きりの時間・・町を歩きながら、食事をしながら、映画を見ながら・・親子の会話は時にはぎこちなく、時には笑いあい、そして喧嘩し、また歩み寄って続いてゆく・・ というと・・なんだか思い出すのは・・会話の映画(?)「恋人までの距離」 あ、でも、こちらの方が先ですね。 この映画もこの親子ふたりの会話をず〜〜っと見せてゆきます。 でも「恋人達〜」が意気投合し、お互いに同じものを感じながらどんどん会話が続いてゆくのとは違って・・こちらは親子。
これまでちゃんと向き合って話をしたことが無い・・。 母親とは話しても、仕事の忙しい父親、ましてや、少し強引な父を尊敬はしながらも避けてきた息子。「話をしよう、話を」という父親になにをどうしたらいいのか・・と戸惑い気味の息子。自分の知らない息子の姿に困惑する父親・・ 会話の中の・・このなんともいえない・・間・・がいいんです。
父を演じるのはマルチェロ・マストロヤンニ、息子はマッシモ・トロイージ(「イル・ポスティーノ」は素晴らしかったですね!!彼の元気な頃の姿が見れて本当に嬉しかった!!) ふたりの表情、素晴らしいですよね〜。 息子の恋人に「息子のセックスはどうか?」なんてことを聞いちゃう時のマルチェロの表情を見て!(笑) 思い出話を語る父親の髪、おでこ、皺を見つめる息子マッシモの表情もなんともいえませんよ〜。
レストラン、カフェ、映画館、恋人の部屋、そして息子が常連として通っているBAR。そんなに賑やかじゃない、港町の風景がこの映画の雰囲気にぴったりです。 BARがまた!!なんだかとっても暖かい灯りを灯してて。 その中で、息子がとても生き生きとしていて。 自分の用意した家、与えようとした車を必要としない、自分の居場所を見つけている息子の姿って・・親としたら・・喜ぶことなんだけど・・やっぱり寂しさも感じるんじゃないかな。 どちらの視点で見るかでまたいろいろ思うことが変わってくると思うんだけど・・私はちょうど年齢からすると二人の中間くらいなんですよね。でも一応親でもあるし・・でも自分の母親と自分の会話・・なんてものも思ったりして。 両方・いろいろ考えちゃいました。
ちょっとした言葉にお互いが隠していたものが見えたり、いわずにいたことを爆発させたり。最後の最後まで、まぁるくまとめようとしていない・・そういうところがとっても良かった。 「ごめんよ」「いや、こっちこそ」なんて言わない(笑) でも向かい合った二人の表情を見て。ちらちらと父を見る息子の顔を見て。(素晴らしいですよ!!)エンディング出ていても、ずっと魅入ってしまいました。
うん、またいいものを見たなあ・・しみじみ・・ あ、二人が遊園地の乗り物に乗るシーンがあるんですけど・・父親の乗った小人(?)がくるくるくるくる回るのが可愛かったです(笑) その回っている間、ず〜っと父親は話していたんですけど。
原題は「CHE ORA E?」今何時?っていう意味です。 この言葉・・とっても効果的に使われていましたね。離れようとしていく・・親子を繋ぎとめて。 音楽も雰囲気にぴったりでした。
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