| 2007年02月16日(金) |
「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」 |
 2005年アメリカ・フランス 監督 トミー・リー・ジョーンズ キャスト トミー・リー・ジョーンズ, バリー・ペッパー, ドワイト・ヨーカム, ジャニュアリー・ジョーンズ, メリッサ・レオ
埋葬が3度?そしてこの不思議な十字架の描かれたチラシ・・で、私、この映画のことをオカルト?ホラー?と勝手に想像してたんですよね。 でもいつも遊びに行かせていただいてる管理人さまの昨年のお気に入りに挙げられていることでぐぐ〜んと見たい度UP!しかも!トミー・リー・ジョーンズだったとは〜。私としたことが・・(あの缶コーヒーのCMも大好きです)
そして見終わった今、激しく後悔しております・・宇多津映画祭でこれを見ればよかった〜〜(涙) ストーリー、キャラクター、そして意外なほどに映像も音楽も、とても後引く、忘れられない印象を残す映画でした。
舞台はアメリカ、テキサス。メキシコとの国境に近い場所。 メキシコ人のカウボーイ、メルキアデス・エストラーダの死体が発見される。犯人の存在を知ったメルキアデスの親友ピートは、きちんと捜査もしようとしない警察に代わって犯人を拉致し、生前の親友との約束を守るため、メルキアデスの故郷を目指し旅立つ・・・・
前半、ピートとメルキアデスのシーンは、過去のシーンが挟まれ時間も前後する描き方でしたが、これがまたなんともいえず、いい味を出していましたよ。メルキアデスに馬を貰うシーンや、彼と二人で(女性達)とデートするシーン。何度も何度も登場する生前のメルキアデスの純朴さ。 二人の出会いのシーンでメルキアデスが言う「俺は・・ただのカウボーイさ」!!これがねぇ・・なんとも。 そしてトミー・リー・ジョーンズ演じるピートのメルキアデスに対する思い、友情。狂気とも思える一途さでヒメネスへの旅を続けるピートにマイクが言うんですね。 「あんたオカシイよ・・」 メルキアデスの顔にたかった蟻を払うために燃やしたり、不凍液を飲ませたり・・そのあたりなんてだんだんとすごい状態になってくるメルキアデスの死体にええ〜っと思いながらも、少し可笑しく・・でもなんだか懸命に語りかけてるピートにこみ上げてくるものもあってりして。 ただただ寡黙に、でもめちゃめちゃ実力行使で親友との約束を守ろうとするピートの姿・・・そうするしかない、何もしてあげることが出来なくなった親友へのただひとつ自分ができること・・なんでしょうね。 どんなにマイクをひどい目に合わしながらもピートは決して彼の死を望んでいるわけじゃないんです。あの盲目の老人の頼みに「神にそむくことは出来ない」とピートが答えたときそう確信しました。
そんなピートがメキシコの食堂(?)で女性に電話をかけるシーンがあるのですが、ここがまた秀逸です、心に沁みます。 夕方でしょうか、日も暮れかけたお店に灯された電燈(イルミネーションみたいな)語りあう人々、調子の少し外れたピアノ・・・「おれだけを愛してる・・って言ったじゃないか」結婚の申し込みをするピートに女性が言った言葉は・・。 そのあと一人、テーブルに戻ったピートの顔・・・。 熟年の男性のこれほど哀愁に満ちた顔ってしりませんよ。いや、若くないからなおいいんですーーー!!惚れちゃいます。
ピートに拉致されたマイクを演じるバリー・ペッパー、彼もとても良かったですね。裸足にされ、手錠をされ、縄をかけられひきづられ・・あげくは蛇に・・と。もうこれ以上ないほどの扱いをされる彼が、そのたびに泣き喚いたり怒ったり・・する姿は寡黙なピートとなんとも対照的で印象的で。 自分のことしか考えてなかった・・人を愛するなんて気持ち・・あったんだろうか・・っていうマイクが・・メキシコの地で出会った人々にとまどい、少しづつなんだか表情が人間味を帯びてきて(バリーさんて・・とてもクールでハンサムで一見、レプリカントみたいですよね)最後の最後に彼がピートにかける言葉・・・これには・・絶句です(涙)。書きません・・見てください、ぜひ。
ストーリーもですが、この映画、音楽も、そして映像もとても印象に残りました。 ピートが見る窓の外の景色。2つの窓から覗く、違った二つの景色や、マイクが逃げ込んだ黄色の花が咲き乱れる土地のシーン。 そしてヒメネス・・と。忘れられないシーンがたくさんありました。
アメリカとメキシコ、国境の町。人々の生活、姿。そういう設定がとても生きていましたね。熱き男性達・・と対照的な女性達の姿・・・こちらもなんといえない味で・・複雑な思いもしながら・・。 いやぁ^〜、でも本当に見てよかった、感謝、感謝の1本です。
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