
2000年フランス 監督 ベルナール・ラップ キャスト ベルナール・ジロドー ジャン=ピエール・ロリ フロランス・トマサン シェルル・ベルリング
鶏の羽をむしり、見事な肉を切り、緑鮮やかなパセリを刻む・・まさにフランスっぽい、グルメなシーンから始ったこの映画。
レストランでアルバイトをしていた若者ニコラが、経済界の大物、大金持ちで美食家のフレデリック・ドゥラモンに見初められた(まさにそんな感じなんですよね、指が美しい・・とか目がいい・・とか)出会いのシーン。 ヒュー・グラントをもっとおじさまにした感じのドゥラモンとヒュー・ジャックマン似のニコラ。このダブル・ヒュー様似(笑)の二人から最初からもう目が離せませんよ・・だって・・だって・・なんでしょう、この物凄く・・何か起りそうな雰囲気。いったい何が起っていくんだろう。絶対何か起るに違いないって(同時進行で事件のその後が少しづつ描かれるので・・そのあたりでまたドキドキ) こういうあやしい・・なんともいえないムードってやっぱりフランス映画、そしてあの「私家版」の監督さん・・ですもの。
自分を味見役として雇い、高額な給料を出すドゥラモンを最初は「変人」と言い切り、ゲームとして楽しむ・・と言っていたニコラ。 でも、ドゥラモンのエスカレートしてゆく要望や、やり方。料理だけではない・・別の意味での味見・・ 「自分がどこまでいけるか試したい」と興味から彼に従っていたニコラも、やがては怒りや困惑を覚えて一度は彼から去るのだけれど・・ でも、でも、これが離れられないんですよね・・。 そんなニコラに・・なぜなぜ?こんな男と一緒にいたら絶対駄目になる・・と思うんだけれど・・これがね〜、ドゥラモンが登場して勝手なことを言い出したら・・不思議なことに、そのわけの分からない言葉に・・翻弄されちゃうんですよね、こっちまで。 パラグライダーで降りてきたニコラの元に駆け寄るドゥラモンの姿に・・思わずほろり・・としそうになったり。孤独や寂しさ、瞳に見え隠れする・・そんな影に・・よろよろ・・っとしたり。でも、その次の瞬間には・・また呆れちゃうんですけど(苦笑)なぜだろう、徹底的に憎むことが出来ないんですよね。 ドゥラモンはいったい、何をどうしたかったんだろう・ がんじがらめになった孤独な自分にはもう感じることが出来ない、若くて自由な感覚を、自分と同じ味覚、同じ趣味、同じ波動を持つ人間として作り変えたニコラから得ようとしたのだろうか。 愛?友情?いや、どんな言葉でも表せられない・・二人の関係。 「出会うべくして出会ったふたり」 ドゥラモンの秘書のこの言葉がなんとも言えない。
最後の最後まで・・どうなるのかとドキドキしましたね。 ドゥラモンの最後の視線。まるでこうなることが分かっていたかのような。それを望んでいるような。 そして、ニコラの最後の表情。これがまた痛ましい。
これって、原作があるとか。ぜひ読んでみなくては! こういう映画に出会えるから・・映画を見るのは止められないよね、ビデオショップ通いも止められない!
しかし・・前日に見た「ウルトラ・ヴァイオレット」で思わずうとうと・・してしまった私にだんな様は「普通は、こっちの方(趣味の問題)がうたたねする映画だろう」とおっしゃいましたが、いえ、それこそ、まさに「趣味の問題」と言うものです(笑)
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