2004年アメリカ・イギリス 監督 ミーラー・ナーイル キャスト リース・ウィザースプーン ガブリエル・バーン リス・エヴァンス ジョナサン・リス=マイヤーズ ジム・ブロードベント ロモーラ・ガライ ボブ・ホスキンス アイリーン・アトキンス ジェームズ・ピュアフォイ ジェラルディン・マクイーワン
かの有名なサッカレーの「虚栄の市」を映画化。 しかし・・この邦題はなんでしょう、これならば、まだ邦題にお得意の「愛〜」を使って「愛と虚栄の日々」とかしてくれた方が良かったのでは?と思いますけど。
19世紀のイギリスで孤児となったヒロイン、ベッキー。後ろ盾も、お金も持たない彼女が、才覚と勝気さで、上流社会に乗り込んでゆく様・・は、「悪女」というよろもむしろ小気味よさを覚えるもの。 だってほら、同じく19世紀を舞台にした「高慢と偏見」でも娘たちを嫁がせるためにあのお母さんもどれだけ露骨に頑張っていたかと思うと。ベッキーは孤児なのですから、なおさら彼女には自分の持っているものだけが全て。
自分の魅力を知っていて、それをフルに活用する彼女、でも古い社会・・は、なかなか思うように彼女を受け容れることがない。たとえば、階級の差なんて・・・と常に口にする大金持ちのおばあさんも本音はまるっきり逆なのだから。 でもそのたびに、またなんとかなるわ!!(なるわ!じゃないか?するわ!)と顔を上げて馬車に乗り込む彼女の姿が忘れられない。 一番印象に残ったのは、ベッキーがステイン侯爵に招かれて上流社会のマダムたちの中に登場するシーン。黒のドレスに身を包んだ彼女はさながら、白鳥の中の黒一点の黒鳥。敵であるマダムたちはもちろん彼女を相手にしないのだけれど、そこでも彼女は得意の美しい歌声で、しだいに周りを魅了してゆく。
彼女の周りの男性たち・・それぞれの魅力で魅せてくれましたね。 みなさん、軍服が似合うこと!! 夫となったクローリー、スリムで背が高くって(ちょっと狩人のお兄ちゃん似?笑)黒髪ともみあげが素敵。戦争に行く前の二人のシーンは、愛情溢れて素敵なシーンでしたよね。 危ない魅力をやらせたら、やっぱりハマるリス・マイヤーズ。やな奴なんだけど気になるんですよね。 そしてベッキーの親友アミーリアに献身的なウィリアム。 彼は年齢とともに風貌も変わっていって、なんだかどんどんと素敵になっていくようでしたよ。一途な男性は好きですよ〜。ピアノのシーンでは「彼だよーー!!」ってこっちが叫びたいくらいでしたよ。 そしてガブリエル・バーン。ステイン侯爵。実は最初の幼いベッキーとの出会いのシーンが好きで、ちょっとロマンティックな風を想像してたので、ああいう風になったの残念でしたけどね〜。やはり、恐さが違いますよね。重圧と風貌。
悪女とは思えないベッキー、でもあまりにも望みすぎて自分のまわりにあるものの大切さが見えなくなっていったのは悲しい。友達への思い、そして夫への思い、いつだって彼女は愛情を軽んじてはいなかったはずなのに・・。
彼女とはまた違う道を歩むことになった親友アミーリアの様子も、対照的に、印象的に挟まれるんだけど・・もっとみせて欲しかった気もするし。しかし、あの男の血を間違いなく引いているあの息子、そしてまた顔立ちまでも!!
ラストシーン、ええ〜〜、ここで終わるん?それでいいんかい〜!!と。 実はDVDの特典にもうひとつのエンディングがあります。 全く対照的な、全然違う、こちらのエンディングでは、しっとりと愛と虚栄について語られていて心を打つラストです。 なぜに本編の方が採用されたのでしょうね?このラストだと思わず邦題の「悪女」も・・しようがないか・・と(苦笑)
原作をぜひ読んでみたい。ふたりの女性の生き様、もっとじっくりと見れるかな・・と。
リース・ウィザースプーンの時代ものは初めてでしたけど、意志の強さ、(決して美人ではないと思うけど)ひきつける魅力がありますよね。 鏡に向かって髪をかきあげるしぐさ、あの笑みはみごとでした。
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