| 2006年12月12日(火) |
「ヘイブン 堕ちた楽園」 |
2005年アメリカ 監督 フランク・E・フラワーズ キャスト オーランド・ブルーム ビル・パクストン ゾーイ・サルダナ アグネス・ブルックナー
カリブ海ケイマン諸島。美しい海、地上の楽園。 そして、住民から税金を免除するタックス・ヘイヴン (tax haven)として有名な島。税金対策のために世界各地から金持ちが集まるこの島は・・はたして誰にとっての楽園なのか・・・
マイアミで暮らす有能なビジネスマンのカールは脱税の容疑をかいくぐり、最愛の娘ピッパを連れて彼の脱税を手伝った弁護士アレンの住むケイマン諸島へとやってきた。 一方、この島で働く青年シャイは、ボスの娘アンドレアと愛し合っているが二人の仲はアンドレアの家族によって引き裂かれてしまう・・・
この2つの物語が島で急展開してゆく2日間を描いた物語。 ただ最初始まったときはカールのお話ばかり・・で、途中でシャイの話になるとカールのお話は出てこないし・・で。そういうストーリーの絡まり具合がちょっと物足りないかな・・って思いましたね。 でも島の中で彼らはいろんな風に出会っている、たとえ気が付かなくても。横7マイル、縦40マイル・・というとどのくらい小さい島なのでしょうか・・いろんな風にすれ違っている彼らが、13日の金曜日のあるパーティで結びついてゆく・・ ラスト20分近くで、さまざまな事件が絡み合う・・あのあたりはいったいどうなるのか〜ってドキドキしましたよ。
シャイ君は・・なんていうか今時こんなに純粋な青年いないよね・・っていうくらい、一生懸命に愛したり悲しんだり、怒ったりしてましたね。 デートに出かけるためにおめかし・・する姿なんて・・あまりに可愛すぎて私直視できないくらいでしたよ(笑) あのきらきらした笑顔が、あんなに激情にかられる姿に変わろうとは・・。純粋すぎるほど・・愛の痛手は激しいのでしょうか・・。
彼女とアンドレアの間にどんな出会いや年月があったのか、そのあたりが分からないし、仲が裂かれてからの彼女の行動があまりにあまりだったので・・どうしてあんなに彼女が好きなんだろう・・っていうのはたしかにあの友人パトリック君の台詞じゃないけど・・思っちゃいますよね。 それに・・ね・・シャイ君・・(大きい声ではいえないけど・・)やっぱり友だちに起こしてもらおう・・なんて・・ダメダメ!(苦笑)「おまえのエッチのために徹夜できるかよ」・・は全くそのとおりだと思います(苦笑) でもシャイ君が最後にハンマーに言った「傷ついたのは僕じゃなくて彼女のほうだ・・」あの台詞には、胸を痛くさせるものがありましたよ。
しかし・・ハンマーはなぜ、あんなにシャイ君を憎むのでしょうね。あまりの憎しみに、私思わず彼は妹に禁じられた思いを抱いているのか・・とまで思ってしまいましたが・・彼女に対する言葉(シャイに向かって言った)を聞くとそれも違うと思いますよね。 とすると、やはり狭い島の中・・・これまでにいろいろ蓄積したものでしょうか。パパに認められていなかったようだし(一方シャイ君は仕事も結構しっかりやれてたみたいだし)そういうのもあったのでしょうか。
この映画には、島の青年たちがいろいろ出てきますけど、境遇もそれぞれ違うし、彼らが観光客にたいして抱いている思いにも、さまざまなものがありましたね。 タックス・ヘイブンがもたらした、お金を持つ人々がこの島に持ち込んだもの(ヤクとかもそのひとつかもしれません)は、この島の若者達をどんな風に変えていったのでしょうか。 そんな風に変わっていった若者達のひとりにフリッツがいるのかもしれません。彼とピッパの話も私はもっと見たかったのですけど。
若者・・といえば・・パトリック君!!シャイ君のまるでアッシーのような彼に、私はかなり心の中で声援を送っちゃいましたよ。 だって・・なんだか一番切なくみえません?(外見も母性本能くすぐるかんじでしたよね 笑) シャイ君とアンドレアとのラブシーンより、シャイ君に「人を好きになったことがある?」と聞かれた彼がとりかけたあの行動の方にドキッとしちゃいました。私がパト君だったらなぁ・・もっとすばやく・・(爆)
ラスト、カールは渋かったですよね。中盤出てこなかったので物足りない部分はありますが・・お金をめぐるやりとりには分からない部分もありますし。 でも娘を思う気持ちだけは・・しっかり伝わりました。 そして桟橋でのシーン。 このシーン、いいですよね。思いを告げるアンドレアにシャイ君の悲しい言葉・・そして起こった悲劇の真相。
みんないったいどうなるんだろう・・カールもアレンも、フリッツも。アンドレアも(アンドレアのパパの「ごめん・・」はいったい何に対しての言葉だったのか・・)パトリックも。 そしてシャイも。(それにしてもシャイ君のママが気の毒すぎて・・あんなに素敵なのに・・) この楽園にどんな明日が待っているのか・・いろんな余韻を残す・・この終わり方は良かったと思います。
そして特筆すべきは、音楽!! いいですよーー、サントラ・・ってないんでしょうか。
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