| 2006年10月19日(木) |
「ブラック・ダリア」 |
2006年アメリカ 監督 ブライアン・デ・パルマ キャスト ジョシュ・ハートネット アーロン・エッカート スカーレット・ヨハンセン ヒラリー・スワンク ミア・カーシュナー
1947年ロス市内の空き地で惨殺死体が発見された。腰から下を切断され、口を耳まで切り裂かれた若い女。 やがて被害者は、東部から出てきた女優志願の娘エリザベス・ショートと判明する。映画関係者の目に留まりたいと黒髪を結い、いつも黒いドレスを身に着けていたベティ。世界一有名な死体となった彼女を人々は「ブラック・ダリア」と呼んだ・・・
ずいぶん昔に読んだ「ブラック・ダリア」当時はその残酷な死ばかりが強烈な印象を残していたように思うのだけれど。こうやって映画のあとにまた読み返すと、ここに登場する人々の心の闇、欲望、痛み、狂気、そして悲しみ。切実に現れていたり、潜んでいたりする・・そういう暗い思いを改めて感じたような気がする。 ふたりの刑事(元ボクサー)ミスター・ファイアーとミスター・アイス。 アーロン・エッカートとジョシュ・ハートネット。 ふたりとも良かったです。リー(アーロン)はまさに何かに取り憑かれたような、止められない男を演じるのにぴったりだし、実は誰よりも「ブラック・ダリア」に惹かれその闇に引き込まれながらも、持っている誠実さを忘れることもなかったバッキー(ジョシュ)はジョシュにあっていたと思う。 冒頭ジョシュのナレーションで始まるんですけど、ジョシュってこんなにいい声だったんだ〜って再認識もしたり。 ふたりの40年代のファッションも素敵だった、あの帽子(情事のあとにも帽子!!)タバコを吸うしぐさ。 ボクシングシーンが本格的でまたビックリでしたね!あそこまで見事にやれるとは!
白い背中が印象的なケイを演じるのはスカーレット・ヨハンセン。 そして奔放な女マデリンにヒラリー・スワンク。豪華ですね。でもそのふたりを霞ませるほど(私には)今回印象的だったのは、なんといっても「ブラック・ダリア」エリザベス・ショーティ。 原作には生前の彼女のシーンはほとんど出てきませんでしたが、映画ではスクリーンテストの映像が残ってる・・という設定で、何度か彼女が登場しました。(このスクリーンテストで彼女にいろいろ質問する声は、実は監督さんなのだとか) 大きな黒い瞳に涙の痕を残し、破れたストッキングを指でいじりながら、それでも(おそらくは彼女の空想の)恋人の話をする彼女の姿がとても強烈だった。ある時は、なまりをあやつってみせ、またあるときはスカーレット・オハラを演じてみせ・・ おそらくはそのとき、バッキーが感じていたような、彼女への感情を私もそこで感じることができた。まさに誰も「ブラック・ダリア」を忘れることは出来ない・・。
リーの最後(これはまさにデ・パルマ監督らしい・・シーンではなかったでしょうか)やラストについては、実は原作の方が気に入っているんだけど。映画ではやはりはっきりとした解決(?)・・の方が良かったのかな・・と思う。
パンフに原作者エルロイへのインタビューもありました。 このクライム・ノヴェズの代表作家の一番のお気に入りのクライム・ムービーが日本映画、「天国と地獄」「野良犬」と答えているのが興味深いですね。
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