| 2006年09月18日(月) |
「アバウト・ラブ 関於愛(クワァンユーアイ)」 |
2004年日本・中国 監督 下山天 イー・ツー・イェン チャン・イーパイキャスト 伊藤美咲 テェン・ボーリン 加瀬亮 メイビン・ファン 塚本高史 リー・シャオレー
REIさんが地味映画としてお薦めしてくれた作品。 東京、台北、上海。3つの都市を舞台にそこで暮らす人と留学生の出会い、言葉も国籍も違う彼らが、心に生まれた思いをどんな風に伝えあうのか。 オムニバスストーリーで描いていますが、3つの作品ともどれも素敵でしたね。
「ニイハオ」漫画家を目指し台北から東京にやってきたヤオと、失恋の痛みを心に秘めながらギャラリーで絵を描く美智子。 スクランブル交差点で、東京の街で、何度もすれ違う二人が、次はどんな風に出会うのか・・。 このふたりのストーリーのあいだに、ヤオの友だちが撮る「すれ違いながらも、まだ出会わないふたり」っていう設定の、あの撮影風景。まるで二人をなぞらえたような、あのシーン。これが挟まれてるのが効果的だなって思いました。 傷心の美智子に毎朝届けるヤオの贈り物。あのギャラリー、硝子ばりで丸見えだよね(でもとっても素敵な建物ですけど!)ヤオでなくてオカシナひとだったらどうするん〜なんてよけいなお世話を思いながら(苦笑) ヤオの描く彼女がだんだんと笑顔になるにつれて、美智子の描く絵も変わって付く。完成した絵のなかの空の青さ、力強さ!素敵でしたね。
「謝謝」深夜の台北。ひとり黙々と本棚を作るアスー。1話めのお話が爽やかに終わってその余韻を引きずっているときでしたから、最初はこのおはなしに溶け込めなかったのですけど。見終わったら、実はこのおはなしが一番好きかな。 アスーと鉄ちゃん。ふたりのかみ合ってない、カタコトの会話。アスーの元彼の言葉を彼女に伝えようとする鉄ちゃん。でもなんだか言葉がどんどん変な方向になっていっちゃって。最後にはなぜか七面鳥が出てきちゃう(笑)この切ないんだけど、噴出しちゃうような。可笑しいんだけど、でも暖かい。いいんですよ〜!!このシーン。 そういえば、本棚にペンキを塗ってるシーンでもたがいにふざけあってて、そしてなぜか急に不思議な踊りを始めたるするシーンもあるんですよ。普通はいれないよね、こんな踊りって思う。こういう感覚が面白い。 鉄ちゃんのオートバイの後ろに乗って雨の中を帰るふたり。アスーが雨は嫌いだけど、トンネルは嬉しい。そこを出たらまた雨が降ってるだろうけど、でも少しのあいだでもそれは雨を防いでくれる・・みたいなことを言うシーンで。実は私はトンネルは好きじゃなかったけど、そんな風に考えるとちょっといいなぁ〜って思いましたね。 本当に普通っぽい、ちょっと情けないようだけど、でもいいとこあるよ、暖かくって。そんな鉄ちゃん!!彼のキャラクターがとても良かった。 ・
「再見」上海の下町。留学生の修平と下宿先の大家の娘ユン。 この下宿がとても素敵なんです。洗濯物を干してる二階とか。下宿屋は雑貨屋さんなんだけど、そこの通りがまたすごくいい雰囲気で。赤い壁、赤い自転車。 修平が彼女に、下宿先の住所を教えてもらおうとユンに聞くシーン。ユンの手のひらに書かれた文字を読もうと修平が手に触れる・・そのときのなにげない・・でもちょっとね・・みたいなユンの表情。 修平の彼女が巻き毛っていうのを聞いて自分もパーマを当ててみたんだけど(彼は何も言ってくれないし)お母さんに叱られてるはで・・の悲しい顔とか。さりげない風を装ってるけど、でも彼に惹かれていってる・・ユンの表情がとてもいいですよね。そして最後のスペイン語に込めた彼女の気持ち。精一杯の。切ないなあ。
相手に気持ちを伝えたい。でも言葉がうまく通じない。あなたならどうするでしょう? 悲しい顔をしないで。元気になって欲しい。あなたが好きです・・そんな気持ちを、自分なりの方法で、精一杯伝えようとする3組の物語。 例え相手に完璧に伝わらなくても、でも伝えようとする想いがあれば、それは相手の心に響くんじゃないかなって思いました。 優しい気持ちになれる素敵な物語。見てよかったわ、REIさんありがとう。
絵や、本棚、手紙や自転車。気持ちを伝えるための小物使いも、とても印象的な映画でしたよ。
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