瞳's Cinema Diary
好きなスターや好みのジャンルにやたら甘い、普通の主婦の映画日記。
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2006年08月19日(土) 「華氏451度」

1966年イギリス・フランス 監督 フランソワ・トリュフォー
キャスト オスカー・ウェルナー ジュリー・クリスティ シリル・キューザック
アントン・ディフリング ジェレミー・スペンサー マーク・レスター

本(活字)が禁止された近未来を描く、あのブラッドベリ小説の映画化作品です。

オープニング、ちょっと変わった感じではじまるのですよ・・。タイトルやクレジットに文字を使わずにナレーションで表しています。最初は分からなかったのですがこれって、活字を使ってない・・!って意味なんですね、きっと!!こだわってますよね!
そして消防隊(でも火を消すのじゃなくって、つけるんですが)の出動シーン。
赤い消防車が黒の(タイトな)制服を着た隊員たちを乗せて・・
部屋の中から、どんどんと本を見つけ出していって(いろんなところから出てくるんですよ。へえ〜こんなところに・・っていう)、網に入れて放り出される本たち・・空を舞いながら落ちてきて。
火をつけられるシーンまで、誰も喋らずに淡々とこなされる情景に、こういうことが日常的に行われている・・っていう寒寒とした世界がよく表されてました。
この始まりから全編通して、ちょっとヒッチコック風?なあんて感じを受けたのですけど。

昇進をまじかに控えた優秀な消防士モンターグに疑問を抱かせて、本の世界に導いていったクラリス。
テレビの世界におぼれる妻のリンダ。
ジュリー・クリスティの二役でしたね。魅力的でした。
消防隊の本部のあのポールのシーンも印象的でした(すべらなくなったポールが、モンターグの本への傾倒を表しているようでしたね)が、なんと言ってもこの映画で印象に残るのは、本が燃えてゆくシーンですよね。
炎の中、本の表紙が黒い花びらのように・・めくれあがって、舞い上がってゆく。
いろんな本の表紙が映るたびに、「あ、これなんの本だろう?」とか思いながら一時停止しようかと思いましたよ。

モンターグが最初に読んでいた本が「デビット・コパーフィールド」だったり1冊だけ持ってこれた本がエドガー・アラン・ポーだったり!!
最後に出てくる「本の人々」の「嵐が丘」「不思議の国のアリス」・・・・いろんな本の名前が登場するのも嬉しかったですよね。原作ではあまり出てこないんですよね、マタイ伝とか・・でしたっけ(汗)
自分だったら何を覚えたい、残したい?って子供たちと話したりしてました。
何かなあ・・1冊だけ・・・って難しいですよね。息子は「坊ちゃん」にしようかなあ・・って(笑)
あの雪の降るラストシーン。歩きながら語る人々の姿。美しくて印象的なラストシーンでした。

久々に原作を読んでみたのですよ。忘れていたところとかあったし。
本が燃えてゆくシーンのブラッドベリの文章は、やっぱり美しい。そしてクラリスの魅力的なこと!!彼女とモンターグが出会って言葉をかわす、最初の出会いのシーンが大好きなんです。空を見上げるモンターグ・・
映画の出会いのシーンは、淡々としすぎてて・・ここはちょっと残念だったなあ。クラリス、昔読んだ時も思ったのですが・・原作では後半出てこないのが悲しいんですよね。映画ではずっと出てきて良かったです。(映画では、最初に本を燃やされた林檎の男の人もちゃんとあとで登場してましたしね!)
そして、原作では別の脅威も描かれていたのですが・・これは映画ではむしろ描かれなくって良かったんじゃないかって思いました。
焦点がぼけてしまいそうですもんね。

本のない世界は・・想像したくないなあ〜〜。
あんなテレビ番組は嫌ですよ〜(苦笑)

あ、クラリスが勤める学校の生徒役で、あのマーク・レスターが出てくるんですよね。可愛いです。


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