瞳's Cinema Diary
好きなスターや好みのジャンルにやたら甘い、普通の主婦の映画日記。
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2006年07月30日(日) 「ある子供」

2005年 ベルギー=フランス 監督・脚本 ジャンピエール&リュック・ダルデンヌ
キャスト ジェレミー・レニエ 、デボラ・フランソワ ジェレミー・スガール ファブリツィオ・ロンジョーネ

ブリュノって何歳・・って設定なんでしょう。
ソニアは、きっと10代かしら?
若い恋人たち。公園でジュースをかけあったり、追いかけっこしたりする姿は、若い〜っていうよりも「幼い〜」「幼すぎる〜」って思ってしまいましたよ。
出産して帰ってきたソニアを迎えるブリュノは、自分の息子を見てもそんなに嬉しそうじゃない。ソニアに言われて、触ってみたり・・するけれど、一応のポーズのようで特別な思いも抱いていないようだから。
まるで盗んだカメラを売るのと同じように、自分の息子を売ってしまう・・・
こう書くと衝撃の事実のように聞こえるけど、彼にはそれはそんなに悪事・・って風じゃなく、ただ何も考えてない・・。今お金があればいい・・お金になるものだったら・・それは何でもよくって・・そんな気持ちからのこと。
そんな彼の行動や、気持ち、彼という“ひと”がなんともリアルに映像から伝わってくるんですね。ある子供・・っていうのは売られた息子ジミーのことじゃない、彼ブリュノのことなんですね。
ソニアも幼いようでいて、彼女はやっぱり「母」なんですね。おなかを痛めて生んだ自分の子供・・に対する母性は目覚めているわけです。
彼女の怒りに触れて、初めてブリュノはまずいことをした・・と思います。この時点でも彼は自分のしたことや息子に対して悪いと思っているわけじゃない、ただ彼女の怒りに対して困惑しているだけなんですね。
彼女に謝るのも・・果たして本当に彼女に謝りたいのか、ただお金を少しもらって今の困った状況を乗り切りたいのか・・っていうところですよね。

はあ・・なんとも・・なんてことだ〜〜と思いつつ、見ていましたが。
彼が子供を取り返しに行く場面や、少年と盗みを働いて逃げるシーン・・これがね、なんでしょう、やたらドキドキしてしまいましたよ。
冷たい水に入るシーン・・今は夏だから気持ち良さそうに思えるかと思ったけど、本当に冷たさが伝わってくるようで。
警察に少年を訪ねる場面・・彼の中で何かが変わっていったのでしょうか。そのままほおっておくこともできたはず、今までの彼ならそうしていたかもしれないのに。

自分に子供が出来たら、大人になれる?そうじゃない。
何歳になったら大人?分からない。
ラストシーン(なんとも唐突に終わるわけですね・・)のブリュノの涙、泣いてる姿は大人になんて見えませんが、むしろ子供のような泣きかたなわけですが。
でも、自分以外のもの・・に目を向けること(少年に対しては)をした彼の中では何かが少しは目覚めているのでしょうか。
大丈夫かな、この二人・・人間、そんなにすぐに変われるわけじゃないぞ・・なあんて思いつつも、でもちょっとほっとした思いも。
いろんな複雑な思いが残ったラストシーンでした。

それしてにも、ジミー君。なんて大人しいんだ・・・
泣かないし・・まるでお人形のようでしたよ。まだ生まれてから9日なんですよね?でも頭や首もやたらしっかりしてるし。あの抱き方大丈夫かい?とか、あららら縦抱きはまだねぇ・・とか、(一応子供育てたので)そういうシーンがやたら気になってしまいましたよ(笑)


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