2003年フランス 監督エレオノール・フォーシェ キャスト ローラ・ネマルク アリアンヌ・マスカリッド トマ・ラロップ
もの静かなクレール。 おとなびた雰囲気の中に、時折見せる(歳相応の・・きっとまだ10代なんだよね)あどけない表情が印象的でした。 スーパーのレジが仕事。家に帰ると大好きな刺繍(ウサギの毛を使ったのなんて、可愛いですよね)をはじめるんだけれど、刺繍をしてるときってなんだかキラキラしてるんですね。刺繍って言っても私が想像していたようなのじゃなくって、ビーズとかスパンコールとかを使ってるまるで芸術品のようなの。 そんなクレールが思いもよらない妊娠という事態になって・・・それをどう受け止めたらいいのか、自分でも分からないうちに・・子供の父親とはうまくいかず、母親にも打ち明けることができない。 やがてスーパーのレジの仕事も休んで。 しだいに大きくなってゆくおなかを、鏡に映してみたり・・戸惑っているんでしょうね・・ そんなとき、刺繍の先生であるメリキアン夫人の元を訪ねるんだけれど、夫人は愛する息子を失ったばかり。 命を授かったクレールと失った夫人と。言葉少ない二人の間を埋めるのは、刺繍という沈黙の作業。だんだんと、本当に少しづつ・・二人が心を通わせてゆく様子が、なんとも静かに、自然に描かれてゆく。 自殺を図った夫人のために病院に(彼女の)身の回りのものを持ってゆくクレール。夫人の心が落ち着いてきて・・人と会うのに身だしなみを整えたいんじゃないかって・・お化粧品とか持ってゆくんですね、そういう彼女の心使い、これは夫人も嬉しかったんじゃないかな。
夫人の息子と一緒に事故に会ったギョーム。彼はクレールの唯一の女友達のお兄さんでもあるんだけれど・・クレールは前から彼のこと、好意をもっていたのかしらね・・そういうところは全然説明されないんだけれど、クレールの視線、笑顔、二人のあいだに流れるもの・・そこからいろいろ想像してしまいます。
クレールって、とっても神秘的な雰囲気を持ってて、黙ってると凄く大人っぽいのに、笑うととっても可愛らしいし、悲しそうな顔だと・・かばってあげたくなるんですよね。魅力的ですよね。 お母さんに妊娠のこと、気付いてもらえるかな・・と思って思い切ってコートを脱いでみたのに・・全然気付いてもらえなくって・・すごく悲しそうな顔がね・・なんともいえなかったです。しっかし・・お母さん、なぜに気付かないかな・・ クレールの長くて、くるくるした髪、綺麗な色ですよね・・それを束ねてブルーの布で巻いて・・フェルメールのターバンの少女・・みたいでしたよね。 愛用の緑のコート、あれ、私すごく気に入りました。ああいうの、いいな〜。
やがて退院した夫人とクレールは、二人で大きな作品を作っていくのですが・・大きな赤い布の刺繍・・・綺麗ですよ〜。 最後にクレールはある決意を夫人に告げます、その決心がなんとも嬉しくて。 静かなラスト・・でも優しく包み込む。素敵な作品でした。
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