| 2006年04月04日(火) |
「レオポルド・ブルームへの手紙」 |
2002年イギリス・アメリカ 監督メヒディ・ノロウジアン キャスト ジョセフ・ファインズ・エリザベス・シュー ジャスティン・チャンバース デボラ・カー メアリー・スチュアート・マスターソン サム・シェパード
“ブルーム”への手紙・・この題名から、この映画をレンタルした私(苦笑) いや、申し訳ない・・頭を下げたい思いです。いやいや、違うか、逆だわ。ありがとう、お礼を言いたいの。借りて良かった。
15年の刑期を終えて出所したスティーブン。彼は食堂で働くことになるが、そこでは経営者は厳しく、たちの悪い客が大きな顔を利かせている。 スティーブンの救いは、本を書くことと、(刑務所に手紙を送ってくれた)少年レオポルドに手紙を書くこと・・・・・
物静かで、ちょっと不気味なほど何にも動じないスティーブンの雰囲気に、彼の過去にいったい何があったのか、そして(服役しなければいけないような)事件とはどんなものなのか、興味を覚えながら見ていましたが。 映画の中では、それとはまた別にもうひとつのお話も進んでゆきます。
少年レオポルドの物語。夫への不信から浮気をしてしまい(それは自分の間違いだったと気付いた後に)夫と娘を事故で失ってしまう母親。そのことから少年の誕生を素直に喜べず、彼に辛く当たってしまう・・そしてある日、事件が起こって・・ この母親役をエリザベス・シューが演じています。すごい・・どうしようもないほど立ち直れない女性の姿を演じきって、観ていてなんともやりきれない思いでいっぱいでした。なぜ、こんなにひきずって、ここまでダメになるのか、少年には何も罪が無いのに・・。こんなにいい子なのに・・と。
少年とスティーブンの物語が、交差する後半。これをどう解釈するのか、それは見る人それぞれに受け止め方ができると思う。 でもどんな風に受け止めても、どんな風に解釈してもいいと思う。 ただ、ここにあるのは、過去の苦しさを文章を書くことで自分の中にしっかりと取り込んで(それは決して忘れるものではないと思うから)そしてその上で、これからの人生に希望をもって生きようとする・・ひたむきさ。
どこまでも青い空の下、ただただ走ってゆくスティーブンの姿・・冒頭のシーンに繋がるこのシーンが、最後に再び登場した時、思わず涙が込み上げてくるのでした。 幸せになって欲しい、自分の人生を掴んで欲しい・・・大丈夫、大丈夫・・あなたたちなら・・・。とても、とてもそう思ったのでした。
あの母親にもね・・いろいろなことを思いましたよ、自分も母親なので・・ね。 自分のしたことを許せないから、自分の人生をめちゃめちゃにする・・自暴自棄になる気持ちは分かります・・でもね・・失ったものをいつまでも嘆くより、彼女に与えられた素晴らしいもの(息子の存在)に気付いて欲しかったな。彼女のこれから・・はどうなるんだろう・・そしてあの食堂の主人も・・・周りの人々もとても丁寧に描かれていたので、観終わった後いろんなことを思い、思い出してはいろいろ考える・・映画でした。 人は、時にはどうしようもないことをしてしまったり、自分ではどうすることも出来ないようなことになってしまったりするけれど。それでもやっぱり、どこかに小さな奇跡が起こって・・希望をもって前を向いていけるよ・・・・そんな気持ちを与えてくる・・心に沁みる映画でした。 あの母親も・・彼に与えた名前には、彼女の希望がこもっていた・・・んですよね・・少なくとも。
キャストは、とても豪華ですよね!懐かしい方々の顔ぶれも〜。 ジョセフ・ファインズの、あの瞳が忘れられないな〜。 そうそう・・睫毛・・彼の睫毛はすごい〜〜(笑)
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