2004年イタリア 監督セルジオ・カステリット キャスト ペネロペ・クルス セルジオ・カステリット クラウディア・ジェリーニ
美しい妻、立派な家。外科医という地位。 人がうらやむような境遇を持ちながら、心の中にくすぶるもの・・ 男の本能・・なんていったら男性から非難ごうごうだろうし、決してそうとばかりは言えないだろうと思うけど・・ でも、始まりは満たされないものを埋めるような衝動だったのかな、やっぱり。それだからといって、彼に親切にしてくれた貧しい女イタリアを無理やり抱いて・・ね。 すまない・・といいながらも・・また。しかもお金置いてくし。 現実世界では、こんな男、絶対受けつけないよ!という私ですが、これがね・・スクリーンの中となると・・なぜかそれほどダメじゃなかったりする・・(苦笑)
だんだんと彼に情を移すイタリア。 マニキュアも優雅な、何もかも洗練された奥さんとは正反対の彼女。アイシャドーはけばけばしいし、あの歩き方!
「1年に一度でいいから会いにきて」なんて、かわいすぎるでしょ、男をつけあがらせるだけだよ・・って思いつつ、言われたら嬉しいだろうなあ・・とも。 責めもせず、ただ男を包み込むような女性をペネロペ、熱演でしたね。 でもそんな彼女も、奥さんの妊娠を知ってとった行動は・・・やっぱり衝動的というか・・命と、自分をもっと大切にして欲しかった。
ずるいよね・・奥さんと別れようとするけれど、妊娠してるから思いとどまって。だけど、イタリアとも別れられない・・ずるい、ずるい・・でもなんだかもう、きっとそうしちゃうんだろうなあ・・って。この男性を演じるセルジオ・カステリット見てたら、なんだかもうそれを受け入れちゃう・・説得力ある顔なのでしょうか・・ 奥さんはね、綺麗でしたよね、自立した女性っていうのかな、そんなに夫を必要としていない・・っていうのか。でもそんな彼女もきっと何かを感じ取ってはいたと思う・・
そして冒頭の娘の事故。また最愛のものを失いかけて彼に見えるのは雨の中のひとりたたずむイタリアの後ろ姿。 かって彼がイタリアに「きっと君は僕を許さないだろうね」と尋ねた時、彼女は「神が私たちを許さないわ」と答えた。 彼がまた「神なんて存在しない」と言うと彼女は「そう願うわ、心から」と。 彼は今でもまだ神なんて存在しない・・と思っているだろうか。
ラストシーン、路上に彼がそっと置いた赤いハイヒールが、涙でぼやけて見えた私でした。
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