| 2006年02月10日(金) |
「ラヴェンダーの咲く庭で」 |
2004年イギリス 監督チャールズ・ダンス キャスト ジュディ・デンチ マギー・スミス ダニエル・ブリュール ミリアム・マーゴリーズ デヴィッド・ワーナー ナターシャ・マケルホーン
原作を先に読んでいました。ウイリアム・J・ロックの短編。 まるで詩のような、美しいおとぎ話のような、この短いお話。映画では周りの人々や、村の様子をもっと織り交ぜ、そして流れ着いた美しい若者と彼を救った二人の女性の関係をもっと深く、もっと細かく描いていました。
コーンウォール地方に嵐が吹き荒れた翌朝、ミス・ジャネットとミス・アーシュラは白いベッドで目を覚まします。 白い寝巻姿(これがまたチャーミングでした)のまま、はだしで庭にでていく二人。庭の花にさほどの被害がないことを喜びながら・・ そのときアーシュラは、海岸に誰かが打ち上げられているのを発見します。
流れついたのは、美しい若者。彼をはじめて目にしたときから、アーシュラはもう恋に落ちていたのかもしれません。 原作では姉妹は二人とも彼に夢中で、看病を競う姿が微笑ましくもあるのですが・・映画のほうでは、恋はアーシュラの気持ちの方が強く描かれています。 もちろん、姉妹で競い合うシーンや、ちょっと言い争ったりするシーンもあったりするのですけど。 だんだんと姉はアーシュラが彼に向ける視線に心配そうな、守るような・・そんな態度になっていきましたね。 姉の方には、枕もとに写真を飾る男性の存在があるのだけれど(これは原作では父親の写真でしたけど・・)アーシュラには無くて。 彼女にとっては、まさに若者アンドレアは、白馬に乗って現れた王子さま、初めての恋だったのでしょうか。まるで乙女のような彼女、ジュディ・デンチ・・この前の「プライドと偏見」の彼女とは違う人のようでしたねぇ。 「不公平だわ」っていう彼女の気持ちが・・なんとも・・ 姉を演じるマギー・スミスは、しっかりしてて、ちょっと嫌味もいったりするけれど、それは妹を心配しているからで・・っていう様子が彼女にぴったりでした。 そんな素晴らしい二人の大女優さんに負けないくらいに、堂々と謎の若者を演じていたのはダニエル・ブリュール。 私はまだ見ていないのですが「グッバイ!レーニン」や「ベルリン・ぼくらの革命」などで注目の男優さんですよね。彼のほかの作品、これから観るのが楽しみです。
そんな中、原作よりもかなりクローズアップされてたお手伝いのドルカス。 昔は綺麗だった・・って言われる彼女、いい味だしてましたよね。 姉妹がものすごく大事にするアンドレアにジャガイモの皮をむかしたり(笑) アンドレアも負けてなかったですけどね・・言い返してましたから・・分からないように(苦笑) 原作のアンドレアよりもずっと若者らしく、収穫祭では酔っ払ったり、オルガに惹かれたり・・っていうところもみれました。
最後のコンサートのシーン、バイオリンの音色には思わず涙が出てきました。 ジョシュア・ベルの演奏だとか・美しいですよね〜。 私は姉妹の家のラジオの前で、村の人々が大勢集まって一心に、そしてなんともいえない・・びっくりしたような顔をして聞いているシーンが好きです。ドルカスもちゃんとドレスアップしてましたよね。 コンサート会場をしっかりとした足取りで後にする姉妹・・ そして、翌朝、またいつものように、手を取り合って海岸に向かう二人・・ 心の中に美しいものをしまって、静かにまた二人で生きていくのでしょうね。
姉妹の家の庭の花々の美しいこと。 外のテーブルに姉妹が座って、レモネードかしら、飲み物があって。アンドレアは美しい旋律を奏でている・・ 1枚の絵のようなシーンや。 テーブルにおかれたお茶の食器(白い地に小さな花の模様でしょうか)、いろいろあったお茶のシーン。 あのちょっとユーモラスな鰯のパイも! 映像もとっても満足な、映画でした。 もちろん、Tea&Cinameに入れるつもりです。
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