2003年イギリス=アメリカ 監督クリスティン・ジェフズ キャスト グウィネス・パルトロウ ダニエル・クレイグ マイケル・ガンボン ブライス・ダナー
シルヴィア・プラスはアメリカを代表する女性詩人で没後ピューリツアー賞を受賞している詩人さんだとか。私は全然知らなくて、彼女の詩も読んだことはなかったのですが。 なので何の予備知識もないままこの映画を観たわけですが・・・う〜〜ん、やっぱり詩人さんってここまで繊細で情熱的な心を持ってないと人の心を射抜く詩は書けないのでしょうか。
夫は桂冠詩人のテッド・ヒューズ。ケンブリッジ大学のパーティで知り合った二人は、強く惹かれあい、卒業と同時に結婚。ニューヨークで賞を受けたテッドとは裏はらに結婚後の彼女は詩が書けないことに悩む。 そして夫の浮気を疑い始めた彼女の心は、どんどんと追い詰められてゆく・・・・
なんだか悲しい。 幸せな蜜月には思うような詩が書けなかった彼女が、彼と離れて憑かれたようにペンを走らす姿。溢れるように流れでてくる言葉。 悲しみと絶望が彼女のミューズを呼び、それによって賞賛の言葉を得ることになるなんて。映画の中で実際に語られる彼女の詩は、激しくて、痛い。
詩人同士の結婚、今のようにお互いが家事をする・・っていうことが無い時代なのでしょうね、結婚したら家事と育児に追われて疲れてゆくシルヴィアの姿が描かれているけれど、そういう普通の主婦の生活の中では彼女にインスピレーションは降りてこなかったわけですよね・・・・
出会ったときの幸せそうな二人、詩を語り合い暗誦しあう姿はとっても素敵だったのに、彼女が最後に選んだ道はあまりにも辛い。 あの日、子供たちにはちゃんとミルクとクッキーを用意していましたね・・涙。 アパートの階段で電燈を見上げて放心する姿や、ベッドの上で動かない・・・どんどんと心が壊れてゆくシルヴィアをグウィネスは熱演していました。 詩人仲間の夫婦が訪ねてきて、一緒にご飯を食べるシーンの彼女もすごかった・・居たたまれない雰囲気に刺が見えるようで痛い。
夫とやり直そうと髪をカールし、唇にルージュを引いたシルヴィアの美しさ。 その真っ赤な口紅の色と、雪の日に運び出される柩の赤がシンクロして。忘れられないシーンになった。
映画では、夫であるテッドの心のうちはあまりにも語られないけれど、彼の側からしたらどうなのだろう、彼女との生活や、愛し切れなかった痛みや。 彼の不倫相手のあの女性も何年後かに、シルヴィアを同じ道を選んだと聞きました。壮絶です・・・
この映画を観て彼女の詩を読んでみたくなった。そして夫のテッド・ヒューズの詩も。
凡人で普通の神経でよかったのかもしれない・・こんなに繊細で傷つきやすいと・・生きていくのはきっとかなり困難なのだろうから。
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