2002年フランス 監督 トニー・ガトリフ キャスト オスカー・コップ ルー・レッシュ チャボロ・シュミット マンディーノ・ラインハルト
そばかすが可愛らしい少年マックス。母親は旅行ばかりで今は祖母の家に預けられている彼だけど、おばあさんの家は裕福みたい。マックスの部屋も大きな机や(電気がつく)地球儀(うちの息子は最近これが欲しいのでじ〜っと見てました)なんかもあったりして。 でも彼は祖母の目を盗んで、ギターの名手ミラルドにギターを習いに行く。ロマ族の彼らのすまいはトレーラー。(でもミラルドのトレイラーは立派だよね)そこでマックスはスウィングという少女と出会う。 彼女がとても良いのですよ、どこからこんな子を探してきたのって思うくらい。細くて、少年のようで。けらけらと笑う顔はとても可愛らしいのに、ドキッとするような大人びた眼差しも見せるのね。黒髪、大きな瞳がすっごい印象的でした。
ロマ族って知りませんでした。ジプシーとどこが違うのかしらって思ったら、フランス中部からベルギー、オランダに暮らすジプシーのことだそうです。少年が習うギターもマヌーシュ・スウィングっていう、ジプシー風にアレンジしたものなのですって。 音楽が、なんとも素晴らしいのですよ。ロマ族の音楽についてちっとも知らなくても何も楽器など出来ない私でも、思わずワクワクしちゃう。みんなでいろんな楽器を奏でたり、歌ったりするところは楽しかったわ〜。ミラルドさんを演じる方は、ちょっとデヴィット・スーシェを思わせる容貌の方でしたけど、本当にマヌーシュ・スウィングの名手だそうですよ。どうりで〜、本物の迫力でした!!
少年と少女の淡い初恋もね・・・なんとも言えませんね。二人でふざけあったり、川で遊んだり(この川がまたね・・良い感じなのですよ)。不純な私は、きゃ、もしや、ここでキス・・などと思ってしまうのですけど、違う、違う。そんなのじゃないのね。じゃれあって、ふざけあって、笑い転げて、楽しくて。でもとても気になって。
でも別れはやってくるのですね。二人とも今のままではいられなきのは分かっていて。お互いの世界は変わっていくのだろうけど、それでもこの夏の思い出は、残っているんだろうなあ。もしかしたら、彼女の顔もどんどんと色あせていくのかもしれないけど、たとえばあの花を見たり、ギターの調べを聞いたり、川にたたずんだとき、ふっと懐かしい情景が浮かんできたり。
ロマ族の悲しい歴史や、いろいろな慣習なんかもさりげなく語られていました。時々綴られるマックスの日記帳もいい感じでした。 お別れにマックスは彼女に日記帳を渡すんですけど、彼女はそれを道に置いて行っちゃう。なんだか冷たいように思えるこのシーンですけど、字の読めない彼女にそれは必要ないものなのですよね。彼女の、彼女らしさがとてもよく出ているシーンだなって思いました。
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