| 2003年06月30日(月) |
「ムーンライトマイル」 |
2002年アメリカ 監督 ブラッド・シルバーリング キャスト ジェイク・ギレンホール ダスティン・ホフマン スーザン・サランドン ホリー・ハンター エレン・ポンペオ カリーナ・メリア
婚約者を悲しい事件で失い、彼女の両親のもとですごす青年ジョー。 映画は、婚約者ダイアナの葬儀の日に始まります・・・ 娘を突然失った両親の悲しみは計り知れない・・。 けれど、悲しみばかりにひたっていられない彼らの日常が描かれていて、それが映画に現実味をしっかりと与えていると思う。 たとえば悲しみを癒そうと電話をかけてきたり食事に誘う友人たち。 元気付けるために本を贈ってきたり。(ジョージョー(母親)は暖炉に投げ込んでましたけど) そういうことって悪気はちっともないんだけれど今の彼らにとってはわずらわしいだけで。悲しみにばかり沈んでいられない彼らのしがらみ・・みたいなものが出ていて、すごくリアルな感じがしましたね。 娘の婚約者と一緒に仕事を始めることでなにかを取り返そうとする父、悲しみを皮肉で紛らわしながらもタバコとお酒におぼれそうになる母・・そんな二人の悲しみが分かるだけにジョーは言い出せない。ダイアナとは婚約を解消していたことを。 ジョーを演じるギレンホール君の優しいまなざしが暖かくて・・・こういう息子がいてくれたら・・と二人が彼を頼りにする気持ちが良く分かる。
でもジョー自身の苦悩と戸惑いはどんどん大きくなって。 彼がバーティーに惹かれたのは、彼女もまたそんな悲しみが分かる人だったから。
彼が裁判で話した言葉は・・・ここは、もう涙が出て止まらなかった。悲劇の花嫁という目でしか見てなかったダイアナではない、彼女の本当の生前の姿がここで鮮やかによみがえってきたから。 これを受け止めた両親の姿も素敵だ。スーザン・サランドン、ダスティン・ホフマン、二人ともさすがの演技ですよね。
二人で行くはずだった新婚旅行のイタリア語の単語ステッカー(家中いたるところに貼ってあった)を幾つも剥がしてゆくラストシーン。 ジョーには新しい旅立ちがあって・・・ 最後、車の天井に貼ってあったステッカー・・これだけは剥がさずに。 ジョーはそれを見上げている。 それは「cielo」イタリア語で空、天井、天国・・
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