| 2007年10月04日(木) |
なんでもありの意思決定by大森北開発計画 |
お役所やお役人という人種は実に都合がいい人々である。簡単に表現すれば「その場逃れ」難しく言えば「その時々の事情に鑑み‥」のお仕事が得意だ。担当課長が変われば「前任者がやったこと」などというのは、国の役所の常套手段である。さすがに大田区では、転勤しても区内にいるので、この手は使えない。今はやりは「それは前の政権(区長)が決めたこと」という「いい訳」だ。
区政の継続性という視点から言えば、前政権だろうが、機関決定したことは継承しなければならない必然性がある。が、そんなことはおかまいなし。良い例が、大森北開発計画である。
これは、入新井特別出張所、図書館、旧職業安定所の区有地に山王と大田区中央にある遊休地をオマケにつけ、さらに足りない分2億円余りの現金を足し、NTT開発が所有する商店街の土地と「交換」したものだ。
本日は、同じ会派の奈須議員が、この如何わしさにつき決算特別委員会で質問をした。お役所の提案、事業には積極的に賛成する多くの「物わかりのいい」議員諸兄のために、この計画がいかに、いいかげんなものかを図示したパネルを私が脇で持っての迫真の質問である。
それによれば、当初の交換は、条例に基づき「公用・公共目的」のため行われた。その際は、新たに建築される建物の公共・公用部分面積は、70%程度だった。ところが、議決の際には、いつのまにか50%をきり、本年6月には、ついに15%にまで縮小されてしまった。
本交換に要した区民の税金は、総額32億8千万円余り。これは、公用・公共目的に利用するからこそ議会も議決したはずである。ところが、いつの間にか「民間のにぎわい創出」と言葉がかわり、民間デベロッパーに定期借地権で土地を貸す事業に変わってしまったのだ。
定期借地権の期間も、お役所お得意の「調査委託(委託料1000万円以上)」の結果、建物譲渡条件付30年定期借地権が適当との結論を得て、その方向ですすんでいたのが、これまた、いつのまにか50年の譲渡条件無しの定期借地権へと変更された。まさに民間デベロッパーにとって好条件を作っているとしか思えない変更である。さらには、30年にしたときには、りっぱな報告書があるのに、50年への変更は、A4のペーパ−一枚といういい加減さ。
旧蒲田保健所跡地のときも「蒲田には無いにぎわいの創出」とのうたい文句の結果、地元のデベロッパ-の貸しビル事業に区民の土地を貸し、なんとスーパーとアスレチッククラブが出店したのだった。いずれも「蒲田にはいくつもある」ものだ。このときと同じことを、またまたやろうとしているのだろうか。
議会の議決なんのその、区民の陳情なんのその、の行政であれば、議会も区民とのワークショップもやらず「我々のやることに文句あるなら、どうぞご勝手に」とでも言ったほうが、よほど正直でいい。
本気で「大森の賑わい」というなら、こんな中途半端な計画ではなく、面としてもっと広い地域で考えるべきだろう。反面、公共・公用であれば、潤沢な基金を使って自前で建設して、すべて公共・公用にしてしまえばいい。
民間商業施設としての賑わいにしては小さく、公共・公用という目的からは程遠い、なんとも中途半端な「お役人らしい」計画は、多くの議員の賛同を得て、粛々と「業者選定」が始まってしまった。50年後は、もう誰もこの事実を知らない。嗚呼、お役人、嗚呼、地方議会!!!
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