雪さんすきすき日記
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2020年06月14日(日) 「NonetEnsemble」のこと

 8時頃起床。午前中は献血。今日は前回よりもさらに多くの人が献血ルームに訪れていた。いいぞ。
 そして、今日は今年10回目の献血と年初に立てた目標を達成。しかし、半年も経たずに目標を達成してしまったので、目標を年内に通算50回へと更新。今日で44回目なのであと6回。がんばろう。

 「NonetEnsemble」(PhotonSystem)が一段落したので感想を。
 Nonetシリーズ最新作は、瘴気に満ちた島の外の世界に憧れた少女ユーリアが、瘴気を払う星の欠片を集める冒険に挑むローグライクRPG。
 ゲーム内容は、ローグライクのシステムとNonetシリーズの特徴である魔石システムを融合させたもの。挑戦する迷宮を選択したら、ランダムに生成されるマップを探索してアイテムを集め能力を強化しながら次の階層を目指すという流れ。探索中は行動と共に瘴気が蓄積し、瘴気が100%になると体力が減少していくので、瘴気を減らすアイテム(木の実)を使用して瘴気の蓄積を防ぎながら探索を続けていく。各迷宮の最後に待つボスキャラを倒すとその迷宮をクリアしたことになる。ただし、クリアする前にやられてしまうと、所持していたアイテムは基本的に全て失う。
 また、迷宮には最大2人まで探索に参加できる。登場するキャラクターは主人公のユーリアを含めて4人で、探索中は一緒に攻撃をする他にそれぞれのキャラクターが有する能力を発揮する。
 魔石は他のアイテム同様迷宮内に落ちていて、使用すると魔法が使えるほか、武器や防具に装備(エンゲージ)すると魔石に応じた効果が得られる。さらに、魔石はときおり出現する石板での合成が可能。同じ魔石を合成すると威力が増加し、異なる魔石を合成すると新たな効果を持つ魔石となる。

 まず、今までプレイしてきたローグライクは基本的に1人で探索するものばかりだったので、今作のように2人で探索をするというシステムがとても新鮮であった。2人で探索する最大の利点は攻撃を2人で行うことで、敵に対する位置取り次第で格段に有利に戦闘を進められるので、終始位置取りを考えての戦闘に大きな刺激を受けた。また、仲間が敵に攻撃できない状況でも主人公を励まして能力を強化してくれるので、間接的に戦闘に参加してくれるようなものである。一方で、仲間も瘴気が蓄積したり状態異常にかかるので、その手当ても随時しなければならないが、やはり攻撃時に手数が増えるのは大変に強力で、基本的にはプレイヤーに有利に働くシステムであった。特に初見の迷宮では仲間の存在は非常に頼もしく、大きな支えとなってくれた。
 ただ、ゲーム序盤に同行できるキャラクターを3人の中から1人選べるのだが、それ以外のキャラクターは好感度を上げないと同行可能とならない。好感度は迷宮内に落ちているアイテムのうちキャラクターが興味を抱くものを贈らなければならず、それらを都度持ち帰っては贈るという作業を繰り返して同行可能なるには迷宮を3〜4つほどクリアした中盤まで到達していた。しかし、他のキャラクターを使えるようになる頃には、最初に選んだキャラクターで迷宮の探索方法が確立していたので、他のキャラクター使う機会はほとんど無かった。さらに、私が最初に選んだアンネリカは薬を種類ごとにまとめて5つまでまとめて持てるという、アイテムの所持数が制限されるローグライクにおいて超強力な能力を有していたので、なおさら他のキャラクターを使う意味合いが薄れてしまったのである。キャラクターの好感度を上げると各キャラクターが取り扱うアイテムの種類も増えるので、好感度を上げる目的は他にも存在するのだが、同行者については好感度を上げる手間に報われたかというと正直なところ疑問であった。

 Nonetシリーズ恒例の魔石については、今作も存分に堪能させてもらった。魔石システムといえば合成で生み出される様々な効果が大きな魅力なのだが、今作もその魅力はしっかり継承していたように感じられた。
 今作は特にエンゲージによる効果の活用が攻略上重要な意味合いを持っており、新たな魔石を合成してはエンゲージしてその効果を確認するという流れが非常に楽しかった。序盤の迷宮では出現する魔石も4種類と少なく組み合わせも10通りだけなので全ての効果を確認するのは楽だったが、先に進むにつれて登場する魔石の種類も増え、後半になると9種類全ての魔石が登場してその組み合わせも45通り(実際には合成不可の組み合わせもあるのでこれよりは少ない)となり、しっかりとした記録をつけないと到底把握は無理。攻略が進むにつれて記録すべき内容も増えていって作業は大変だったが、全ての組み合わせの詳細な記録が完成ときは今までのシリーズ以上に大きな達成感を得ることができた。
 中盤までの登場する魔石が限られる迷宮では、その迷宮に登場する魔石の組み合わせでは全ての状態異常に対処できないというのが面白い調整と感じた次第。確かに、中盤程度で全ての状態異常に対処できてしまったら探索の緊縛感も薄れてしまうし、何より後半でその状態異常に対処できる魔石を持ち込んで圧倒するという楽しみも奪われてしまうので、この調整はゲームを盛り上げるのに上手に働いていた。
 あと、迷宮内には魔法によって効果を発揮する様々な仕掛けがあるのも、魔石の活用幅を広げてくれた。焚火に火を付けると明るくなったり、落ち葉を風で飛ばすと木の実が入手できたりと、自然現象と魔石の効果を上手に結び付けている。しかし、仕掛けに応じた魔石が常に入手できるわけでもなく、また仕掛けに使うか合成に使うかという葛藤もあり、特に装備が貧弱な序盤において様々な迷いを生み出す仕掛けには結構翻弄された感があった。さらに、これら仕掛けに関する説明が一切無いのはずいぶんと思い切った仕様である。プレイヤーはその仕掛けを見て発動させるための魔法を探り当てなければならず、一種の謎解き要素として作用していたのも面白かった。クリアした今でも、もしかしたらまだ解明していない仕掛けがあるかもしれない。

 迷宮の難易度は、段階的にシステムや攻略を学ぶことができる良い調整であった。やはり、ローグライクは実経験を即興で活かすのが大きな醍醐味の一つであり、この作品は前の迷宮で得た知見を次の迷宮の攻略時にきちんと活かせて、その醍醐味をしっかりと味わうことができたといえる。最後の迷宮は今までの迷宮の集大成のような構成であり、様々な敵や状態異常に対処する能力を求められて正にこの作品の卒業試験を受けている感覚であった。
 ボスについては、雑魚を生み出すボスは攻略し甲斐があったが、単体のボスは正面から殴っていたら初見で勝てたものばかりで、ボスによって割と評価が分かれる内容であった。一番攻略を楽しめたのは不帰の霊峰の分身するボスで、このボスで全体魔法の強力さを認識することができて、それ以降の迷宮の攻略に大変役に立った。逆に、一方的に攻撃して倒せたボスは果たしてどのような攻略を要求していたのか、今でも何ともすっきりしない感覚に囚われている。
 ボスを倒すと探索に役立つ設備が拠点に増えるという要素は、アイテム保管以外はあれば便利程度の内容でそれほど存在感があるわけではなかった。それでも、状態異常無効をランダムに付与する温泉と、やられたときに所持品をランダムで回収する回収屋には結構助けられた。ボスを倒すと入手できるイベントアイテムで設備の強化も可能となっているが、好感度以上に手間がかかるので、こちらは適当に切り上げた。

 物語は今まで続いてきたNonetシリーズの結末のような印象を受けた。が、ラスボスの正体が謎だったり、俺たちの冒険はこれからみたいなエンディングに不完全燃焼気味だったりと、今一つ腑に落ちないところも少なからずあったりする。とはいえ、これは次回作への布石という解釈もできるのではなかろうかと。
 迷宮内に落ちているアーティファクトを持ち帰ると、昔の文献が参照できるようになる。この内容はNonetシリーズの過去作の内容を述べたものもあり、いろいろと考察が捗りそうな要素を興味深く読ませてもらえた。ただ、残念なことに過去作の内容をおぼろげにしか覚えておらず、過去作と結びつけられなかったものも多かったが。

 プレイしていて気になった点は、まず一部の魔法の演出効果が長くて間延び感を覚えたこと。確かに演出効果は大事だが、それによりゲームの進行が遅れては本末転倒な気がする。ローグライクはある意味プレイヤーが進行速度を決められるので、それに影響を及ぼす要素は非常に気になってしまうのであった。
 あと、拠点の村が無駄に広い。施設の密度が低いので、各施設に行くのがいつも億劫であった。また、ボスを倒した際に追加される設備も、探し出すのが面倒極まりなかった。最後まで付き合わなければならない場所なので、こういう手間を毎度のごとく感じさせられるのは結構苦痛であった。
 これはあったらいいなと思った機能だが、通路での早送りは分岐は部屋の手前で止まってくれるが、部屋の中でも壁沿いに走っているときは通路の所で止まって欲しかった。

 全実績達成まで98時間半。やはり経験を活かす即興性が楽しいローグライクは時間泥棒であった。とはいえ、単にローグライクというだけで100時間近くもプレイできるものではない。ローグライクのシステムとNonetシリーズの魔石システムを上手に融合させることで生み出された独自性と、その独自性の魅力を引き出す調整と構成の妙があってこそかと思った次第である。


氷室 万寿 |MAIL
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