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■ 切り取られた断片に
3 〜 一羽の鳥 たとえば犬鷲は あのゆるやかな旋回のうちに 観察するが批評しない なぜそのとき エネルギーの諸形態を観察だけしかしないのか なぜそのとき あらゆる色彩とリズムを批評しようとしないのか 〜
9 〜 批評も 反批評も 意味の意味も 批評の批評もない道 空虚な建設も卑小な希望もない道 比喩も象徴も想像力もまったく無用の道 あるものは破壊と繁殖だ あるものは再創造と断片だ あるものは断片と断片の中の断片だ あるものは破片と破片のなかの破片だ あるものは巨大な地模様のなかの地模様 つめたい六月の直喩の道 朱色の肺臓から派出する気嚢 氷嚢のような気嚢が骨の隋まで空気を充満せしめ 鳥は飛ぶ 鳥は鳥の中で飛ぶ 13 おれは小屋に帰らない ウィスキーを氷でわるように 言葉を意味でわるわけにはいかない
田村隆一 「言葉のない世界」 詩集『言葉のない世界』より
2001年09月03日(月)
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