単独ライブ  -音楽と日常の独り言-
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 切り取られた断片に

3

一羽の鳥
たとえば犬鷲は
あのゆるやかな旋回のうちに
観察するが批評しない
なぜそのとき
エネルギーの諸形態を観察だけしかしないのか
なぜそのとき
あらゆる色彩とリズムを批評しようとしないのか


9

批評も 反批評も
意味の意味も
批評の批評もない道
空虚な建設も卑小な希望もない道
比喩も象徴も想像力もまったく無用の道
あるものは破壊と繁殖だ
あるものは再創造と断片だ
あるものは断片と断片の中の断片だ
あるものは破片と破片のなかの破片だ
あるものは巨大な地模様のなかの地模様
つめたい六月の直喩の道
朱色の肺臓から派出する気嚢
氷嚢のような気嚢が骨の隋まで空気を充満せしめ
鳥は飛ぶ
鳥は鳥の中で飛ぶ
13
おれは小屋に帰らない
ウィスキーを氷でわるように
言葉を意味でわるわけにはいかない


田村隆一 「言葉のない世界」 詩集『言葉のない世界』より              


2001年09月03日(月)
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