パラダイムチェンジ

2007年02月10日(土) 身近な人を感動させること

先週の土曜日に放送された、日本テレビの番組「シャルウィダンス」に
私が習っている社交ダンスの先生が再び登場した。
今回は、漫才コンビ、ブラックマヨネーズのブツブツじゃない方、
小杉さんのパートナーとしてタンゴを踊り、見事予選2位の成績で
予選を通過したのだ。

今、ちょうど私がタンゴを習っているということもあり、一部振り付け
も同じなので、いつも以上に注意して見ていたんだけど、今回の小杉
さんのタンゴは、ダンスをかじった私から見ても、綺麗に踊っている
なあ、と感心する感じだった。
いつもは辛口の審査員の先生の評価も結構高かったし。

放送後、初めてのレッスンで先生におめでとうございます、と言い、
その後の休憩時間に放送の舞台裏の話を面白く聞くことが出来たん
だけど、先生によると、本当にダンスが出来上がったのが、最後の
最後の練習前で、本番でもこれくらい踊れたらいいね、と話していたら
本番ではそれ以上に踊ってもらえたので、余計感動した、と言っていた
のだ。
本番の採点の後では、先生が感極まって涙を流していたし。

あの番組では本番の前にメイキングと言うか、練習風景が流れるん
だけど、その時の感じでは、確かに今回は厳しそうだな、という感じ
だったし。

本番での小杉さんは、上半身がスッキリと見えていて、それが踊りと
して成立したんだろうな、と思うのだ。
逆にいうと、あの番組の構成上仕方がないとはいえ、たった1週間、7回
のレッスンで、踊るときの姿勢を維持させるのって、結構大変だろうな
と思うし。


でね、ここからは個人的な勝手な憶測なんだけど、本番での小杉さんの
踊りを見ていて、この人はいい成績を出そうとか、奇麗に踊って周りに
評価されたい、みたいな気持ちではなく、多分一番身近で自分を教えて
くれた、パートナーである先生を驚かせてあげたい、と思いながら踊っ
ていたんじゃないのかな、と思ったのである。

なんでそう思ったか、と言われると、何となく、としか言いようがない
んだけど。

でもね、普通の人って、綺麗に踊りたい、とかいい成績を出したい、と
思った場合って、肩に力が入りがちになって、カウントを外したりする
んだよね。

小杉さんの踊りにはそういう感じがなく、いい感じに肩の力が抜けて、
一生懸命に踊っている感じがしたのが、真面目な、というか好印象に
結びついたような気がするのだ。

多分ね、練習を積んできた段階で、小杉さんは自分が優勝できる位の
レベルではないと思ったんじゃないかな。
だからいい成績を出したい、というよりは、とりあえず自分のベストの
踊りをして、レッスンに付き合ってくれたパートナーである先生を
喜ばせてあげたいと思ったんじゃないかな、と思うのだ。

と、まるで見てきたかのような事を書いているんだけど、踊りって、
その人がどう考えて踊っているかっていうのが、割と筒ぬけというか、
わかりやすいと思うんだよね。
それは、おそらく審査員の先生たちにの評価からもそういう感じが
するし。

加えて、小杉さんの場合、元々コンビ芸人というのも大きかったのかも
しれない。
コンビの人の場合って、多分普段でも相手のテンションの高さっていう
事に対して敏感なんじゃないのかな。

それは、いつもと同じネタをやっていたとしても、相手のテンションが
高くなれば、お客の反応も大きくなって、その瞬間に大化けする、とい
う感じがわかるだろうし。

だから今回の場合、一番身近な存在であるパートナーを感動させること
が出来たら、そのパートナーの感動が周囲に伝わる、というのが経験で
わかっていたんじゃないのかな、と思ったのだ。

それに、大御所やベテランではない、売り出し中の若手芸人の場合、
この一瞬を逃したらTVに映る機会がなくなる、みたいな時の集中力って
すごいんじゃないかな、と思うし。

芸能人のダンス大会で、少ない練習時間にも関わらず、本番に強い人が
多い理由も、もしかするとその辺にあるのかもしれない。


で、そういうのって、いろんなことに応用が利くんじゃないかな、と
思うのだ。

私たちは(というか少なくとも私の場合)、ついいい成績を出したい、
とか、たとえばいい表現をして他人からほめられたい、とか目先の事
よりも大きなものを目標にして、何かをやろうとする傾向があるのかも
しれない。

でも、本当に必要なのは、まずは身近にいる人に小さな感動(もしくは
小さな変化)が起こせるかどうかが、重要なのかもしれないな、と思う
んだよね。

それは例えるなら、政治の選挙活動で、この国を変えます、とか
大きなことを一生懸命に演説しているのに、誰も立ち止まって聞いては
くれないようなものなのかもしれない。

それよりは、まずは目の前にいる人に話しかけて、その人に振り向いて
もらえるように話している方が、もしかすると大化けするかもしれない
んじゃないのかな。

そしてそれは自分の仕事にもつながっているような気がするんだよね。
やっぱり、目の前の患者さんに、感動とは言わないまでも、小さな変化
を起こすことが、自分の仕事にとって大きな成果なんじゃないかな、と
思うのだ。


シャルウィダンスでの、小杉ペアの次回の放送は、おそらく来週になる
と思うので、次回もいい意味で期待せずに楽しみにしたいと思います。

また、直接は関係ないんだけど、今週放送のシャルウィダンスに
出場予定で前日のリハーサル中に脳出血で入院してしまった宮川大助
師匠におかれましては、早く病状が回復することをお祈りしています。


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