パラダイムチェンジ

2007年02月15日(木) 映画「墨攻」@新宿バルト9

先日2月9日にオープンしたばかりの映画館、新宿バルト9に行ってみた。
同じく新しくできた○l○lの上にあるシネコンである。
ここは、以前東映シネマパレスという映画館があった場所で、
新宿通りを伊勢丹のある明治通りを越えた先にある。

と書くと、新宿駅から遠い印象があるけれど、新宿駅南口から、甲州
街道をのぼっていくと、駅からは結構近い。
もしかすると、新宿東口から歌舞伎町の映画街に行くよりも近いかも
しれない。

内部は最近のシネコン、って感じで全部で9つのスクリーンがあり、
椅子も、頭をのせることができるヘッドレストがついていて心地よい。
難点を何点か挙げると、飲み物の値段が高いと思うことと、20時以降
でもレイトショー割引(他だと1200円とかになる場合がある)がなかった
のが想定外だったけど、これは六本木ヴァージンシネマなどの他の
シネコンでも同様だし。

新宿の場合、いいシートのある映画館が少ないことを考えれば、ここは
結構貴重といえるかも。
割引はないけれど(しつこい)、平日でも夜遅くまで上映しているので、
時間の都合もつけやすいし。

また、ここだけの企画として、現在劇団☆新感線の演劇を撮影した、
「ゲキシネ」を上演(現在はメタルマクベス)していたり(ただし、チケット
は通常の映画より高め)、「私をスキーに連れてって」とか「銀河鉄道999」
などの昔の映画を上映していたりと、色々とやっているのも面白そう。

オープン直後だから混んでいるかなあ、と思ったら全然そんなことが
なかったし。
(まあ、この辺は観た映画によるのかもしれないが)


という事で今回、この映画館で何を見たのか、というと「墨攻」という
中国の時代劇映画である。
ただし、原作は日本の小説、マンガの「墨攻」

酒見賢一による小説版も、またその小説を基にした森秀樹によるマンガ
版も、今から20年近く前の10代に読んで以来、面白かったという印象が
強く。

特にマンガ版は、ビッグコミック誌に連載されている時から好きだった
作品なので、今回映画化されるにあたり、是非とも見たいと思っていた
のだ。

という事で、見に行ったわけだけど、見た感想は、「やっぱり戦争もの
は、見られないカラダになってしまったのかなあ」というもの。

いや、物語自体は、結構原作に忠実に描かれているし、梁という国の
城を取り囲んだ10万人の兵との攻防戦のくだりで、主人公の革離が、
知恵をしぼって戦い抜くあたりは、とても手に汗握る感じで面白く。
また主人公の革離を演じるアンディラウも格好いいし。

という風に、作品的にはいい出来だと思うんだけど、見ていて楽しめ
ないのだ。
というより、最近、戦争映画って本当にあまり見ようと思わないんだよ
ね。

最近の作品って、CGなどの発達によって、戦闘シーンが本当にリアルに
作れるじゃないですか。
で、作っている側としては、やっぱり見ているこっち側にその戦闘の
臨場感に訴えかけるような作りになっていて。

そうすると、その映像が実際に「痛く」感じられちゃうんだよね。
なんかわざわざそういう場面を見たくないというか、そういう所に
行きたくないというか。

もしも、自分が実際に戦場に行かされたとして、自分が生き残るか
どうかっていうのは、運によるだろうし、人を殺したくない、と思って
いても、目の前に敵がいて、相手を殺さなきゃ自分が死ぬんだと思えば
相手を殺すのかもしれないし。

そういう日常とはかけ離れた場所の事っていうのは、どんなにリアルに
描こうとも、想像を絶するものじゃないかなと思うし、その一方で、
戦場において八面六臂のヒーローを描かれても、自分がヒーローになり
たいと思うよりは、多分そのヒーローに殺されちゃう名もなき人の方が
自分に近いだろうなあ、と思うし。

と、戦争を描かれると、見終わった後に暗澹たる気持ちになってしまう
のである。
私が「硫黄島からの手紙」ほか、最近の評判のいい映画を見に行かないの
も、多分そういう気持ちが強いからなのかもしれない。

じゃあなんで今回そんな戦争映画を見に行ったのか、といえば、
原作が面白かったという記憶があったのと、時代劇だったら大丈夫かな
と思ったんだけど、さにあらず。

これが小説だったら、誰々が殺された、という記述だけだから、自分の
想像力もそんなに働かないんだけど、映画でなまじリアルに作られて
いると同じ場面でも、うへえ、こんな大変なのか、と思い知らされ。

やっぱり、いつの時代でも戦争っていうのは、やりきれないものなん
だよなあ、と思いました。
この作品でも、戦争を通じて幸せになった人って誰もいないわけだし。

その意味では、たとえ今日本で下流社会にいたとしても、戦争のない
時代に生きていられる(自分の命が明日どうなるかわからないという
不安におそわれずに済む)という事だけでも幸せなんだよなあ、と
つくづくと思いました。

その意味では見てよかったのかもしれないけれど、ズーンと重い気持ち
になったので、あまり人に勧める映画ではないかも。
この映画を見るんだったら、マンガのほうをオススメします。
(でもマンガもそんなに明るい結末ではなかったような…)

余談ながら以下どうでもいいネタなので、見たい人だけドラッグで
反転していただくとして。
梁の国の国王役の役者さんが、さまーずの三村に見えてしょうがなくて
最後の方では、三村、お前がいなければよかったのに、とまで思った
のは、内緒の話。(さまーずの三村は全く関係ないのにね)


新宿バルト9には、近々また行きたいと思います。


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