| 2005年07月17日(日) |
フライ,ダディ,フライ |
今回は映画ネタ。見てきたのは「フライ,ダディ,フライ」 この映画を一言でいうなら、「岡田准一ファン(でなくても)必見の映画」 である。 かといってこの映画、いわゆるアイドル映画ではない。
主人公は堤真一演じる40過ぎのサラリーマンの、アクションムービー である。 だけど、岡田准一が出てくるたびに絵になるというか、自然と目が 向かってしまうほど、今回の岡田准一のこの役がカッコイイのだ。
物語は、総合格闘家の須藤元気演じる、親が有力政治家でボクシング 高校総体優勝者のエリート?高校生に、娘を傷つけられた平凡な中年 サラリーマンが、落ちこぼれ都立高校の落ちこぼれグループ「ゾンビー ズ」の力を借りながら、娘を傷つけた高校生に立ち向かっていく、 という話。
最初のうちは公園を1周するだけでヘタっていた中年サラリーマンの 鈴木さんが、岡田准一演じる高校生、朴舜臣(パクスンシン)によって 路線バスと互角に競争できるところまで、身体を鍛え上げ、戦い方を 身につけていくのだが、その合間合間に言う、スンシンのセリフが 格好いいのである。
「基礎ってなんだと思う?いらないものを削ぎ落としていって、必要な ものだけを残すことだ。いまのおっさんの頭の中とか身体には、余計な ものがたくさんついている。そんなわけで、まずは基礎作りから始める。 分かったな?」
「人間がいくつの細胞から出来てるか、知ってるか?約60兆だよ。おっさ んはこれまでどれくらい使ってきたんだ?使わなかった細胞をいくつ 残して死んでいくんだ?」
「力は頭の中で生まれて育つんだ。頭でダメだと思った瞬間に、力は 死ぬんだぜ」
「どんな人間だって闘う時は孤独なんだ。だから孤独であることさえ 想像するんだ。それに、不安や悩みを抱えていない人間は、努力して いない人間だよ。本当に強くなりたかったら、孤独や不安や悩みを ねじ伏せる方法を想像して、学んでいくんだ。自分でな。 『高いところへは他人によって運ばれてはならない。ひとの背中や頭に 乗ってはならない』」 「・・・・・・ヨーダ?」 「ニーチェだよ」
「自分が信じられなくなった時」朴舜臣はそこまで言って、左手の人指し 指の先を私の心臓のあたりにくっつけた。 「ここに恐怖が入り込んで、おっさんは一歩だって動けなくなるだろう」 「おっさんは背中に中身がいっぱい詰まった透明のリュックサックを しょってる。石原の背中には何もない。どんなことがあっても自分を 信じることだ」
「勝つのは簡単だよ。問題は勝ちの向こう側にあるものだ」
これらのセリフが岡田准一の口から出ると、いやあマジでカッコイイ のだ(一部は映画ではなく、原作本からの引用なんだけど)。
そしてそれはセリフだけに現れるのではなく、ふとしたたたずまいの 一つ一つが、ジャニーズ岡田准一というより、一人の役者として、 また劇中の人物、パクスンシンとして格好いいと思うのである。 なんか自分もこの暑いさなか、怠けた身体をいじめ抜いて、鍛え上げ たくなるような、そんな映画なのである。
この映画の原作は、数年前、窪塚洋介主演で話題になった映画「GO」 (脚本:宮藤官九郎)の作者でもある、金城一紀によるもので、金城は 今回、脚本も兼ねている。
原作の「フライ,ダディ,フライ」と、その前作「レボリューションNo.3」 はすでに読んでいて、これらに出てくる登場人物、特にゾンビーズの 活躍?ぶりにはゲラゲラ笑いながら楽しませてもらったので、今回の この映画で、彼らがどんな活躍を見せてくれるのかも実は楽しみの 一つだった。
そしてそれは期待を裏切られないゾンビーズぶりで。 個人的に、この原作には思い入れがある。 それはこの原作が、高田馬場にある都立高校を舞台にしていて、私も 実は高田馬場にある都立高校出身で落ちこぼれ生徒だった、という事も あり。
だからというわけではないが、ゾンビーズの連中にはとりわけ親近感を 感じるというか。 ま、正直あそこまではっちゃけてはいなかったけど、それに近い連中は 同級生を見渡せばゴロゴロいたし(私もその中の一人なんだろうけど)。 原作を読んだときには、どこか懐かしい感じがしたのである。
今回のこの映画では、原作者が脚本を兼ねていることもあり、その原作 のテイストを損なうことなく、映画化されていると思う。 上映中も、あちこちで笑いが起こっていたし。 脚本としてのスマートさ、手馴れた感じでいえば、「GO」の宮藤官九郎に は負けると思うけれど、これはこれで、いい味が出てると思うし。
また、主人公、鈴木役の堤真一は、さすがに元JAC(ジャパンアクション クラブ)出身という事もあって、映画後半の走りっぷり、アクションが とても格好よかったと思う。 本人曰く、前半の下手に走る方がよっぽど体力的にはきつかったようで。
なんかこの夏の暑さも、この映画で乗り切れそうな、そんな勇気を 与えてくれるいい映画でございました。
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