パラダイムチェンジ

2005年07月19日(火) プロデューサーズ

今回はミュージカルネタ。見てきたのは「プロデューサーズ」
このミュージカルをひと言でいうと「笑えるブロードウェイの光と影」
って感じかもしれない。
なんとなーく、アメリカ東海岸っぽいというか、ひねた大人っぽさと
いうか。
でも、「シカゴ」にしろ、「キャバレー」にしろブロードウェイ発のミュー
ジカルって、そういう所があるような気がするので、この作品は、ブロ
ードウェイミュージカルの王道といえるのかも。

物語は、失敗作続きのブロードウェイのプロデューサー、マックスが
将来プロデューサーを夢見る会計士、レオの些細なひと言から、わざと
失敗作をつくって計画倒産?を狙い、出資金を持ち逃げして高飛びを
しようと計画する。

その大失敗作のために選んだ脚本が、元ナチス党員の書いた「ヒトラー
の春」。そして演出に選んだのが、ゲイ色を前面に出した下品なショー
が売り物のゲイ演出家チーム。
そして、中には英語は全く喋れないのに、ナイスバディゆえに、なぜか
彼らの秘書も兼ねているスウェーデン人女性、ウーラも含まれた大根
役者軍団。
そして彼らの出資者は、マックスが文字通りカラダを張って稼いだ、
NYの独身のおバアちゃんたち。

さあ果たして、この史上最悪の取り合わせのミュージカルの出来栄えや
いかに?
という内容。

でも意外や意外?この劇中劇ともいうべき、「ヒトラーの春」が面白い
のである。
だってアクシデントの結果とはいえ、ヒトラーを演じるのは見るからに
ゲイ。
このゲイライクな総統に率いられた第三帝国の活躍ぶりは、できれば
劇場で見てほしいくらい、腹を抱えてげらげら笑ってしまいました。


でもこのミュージカル全体を通して感じるのは、よくできてるなあ、
ということ。
ブロードウェイを皮肉っている部分もあるかわりに、英語もまともに
話せないスウェーデン人でも、一夜にしてスターになってしまうあたり
とか、かと思うと「ヒトラーの春」の観客の大半がユダヤ人だったとか、
はたまたいかにNYには、一人身の寂しいおばあちゃんでいっぱいなのか
とか、おそらくはブロードウェイの目の肥えた観客の心をつかむ出来に
なっているんだろうなあ、と思うのだ。

この作品には、思わず口ずさみたくなるような、名曲はない一方で、
ブロードウェイの底の厚さを感じさせてくれる作品になっているんじゃ
ないかな。

そしてまた、最近のトニー賞を見ていても、賞に輝くのが、マペットを
つかった風刺劇(これはこれで見てみたいけど)とか、英語のスペリン
グ大会だったりと、いわゆる変化球が多いような気がする。

そんな中でこの作品は、きちんとブロードウェイのゴージャスさを
残しているあたりも、人気の秘密なのかもしれない。
(と、思ってたらこの作品、映画をミュージカル化した作品だったん
すね)

できれば来年か再来年あたり、再演することがあったらまた見てみたい
かも。
とりあえずは秘書のウーラ役の人の超ナイスバディを拝めただけでも、
得したーって感じでございました。

でもこの作品って、今度ジャニーズで日本語版をやるんだよね。
レオ役の長野博はともかくとして、マックス役にいのっちってどうなん
だろう?
なんか役に合ってないんじゃないかとか、もっと他にいい人がいるん
じゃないかとか思ってしまうが、逆にこの役を成功させたら、いのっち
も役者として一皮むけちゃうのかもしれない。
(でも見には行かないけど)


 < 過去  INDEX  未来 >


harry [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加