パラダイムチェンジ

2004年09月17日(金) プロ野球再編と日本的社会

というわけでプロ野球は史上初めてのストに突入した。
古田選手会長をはじめとする各球団選手会長は2日にわたり朝から交渉し、試合を行い、しかも昨夜は古田は各局のニュース番組に出演まで
し、最後のすぽるとでは、ファンからの励ましの声に対して、感極まっ
て涙を見せた。

本当に、スト決定するまでの重圧と、そして決定後のファンから野球を
とりあげてしまったという責任感の重さがのしかかっていたのだろう。
本当にお疲れ様である。全ての責任を選手会側に押し付けようとする
経営者側とは大違いである。

スト決定後は、塩爺をはじめとして、今まで合併はいかんといっていた
有識者といわれる人たちが手のひらを返し、選手会側にどう落とし前を
つけるんだ、なんて発言をしている。
まことに人間というものは、いいかげんなものである。

根来コミッショナーにいたっては、肝心な時には海外旅行してたり、
ライブドアが新球団申請に行ったときには、わざわざ広島まで試合見物
に行ってたのに、遅ればせながら進退をかけて(調停ではなく)スト回避
に乗り出したが、ストに突入したので辞任するらしい。

いいよ、とっとと辞めてくれて。
だって、全然本来のコミッショナーとしての仕事を全うしてないんだか
ら(経営者にしてみれば全うしているのかもしれないが)。
ついでに今まで支払われた高い給料も返してくれれば有難いのだが。

ちなみに根来コミッショナーが広島に行っちゃったせいで、実は正式に
受理されていないというライブドアの申請書は、今もコミッショナー
席に放置されたままなのだろうか。


現経営者側が自分たちの経営上の問題として、新規参入に対して否定的
なのは、結局新球団ができることで、これ以上減少傾向にある自分たち
のパイを減らしたくないからだろう。

ここで新規参入さえさせなければ、自分たちの懸命(でもない)の努力を
もってしても、プロ野球の人気回復には至らなかったということで、
手を引くところも安心して手を引く事ができる。
すなわちは、縮小する市場から円満に撤退する口実もできるという
勝ち逃げならぬ負け逃げである。

それに万が一、ライブドアや楽天が新規参入して大成功をおさめて
しまった場合には、自分たちの顔に泥がつく。

これが本業が傾いているのなら、必死になって立て直すだろうが、
彼らにとっては所詮は広告塔代わりである。
そんなことはあってはならないことなのかもしれない。
まさに「上司は思いつきでものをいう」の上司状態である。

また、ライブドアの新規参入に対してあたふたしているNPB側というの
は、まるでペリーの黒船来航に対してあたふたしている京都朝廷みたい
なもので。

今までなんの実権もなしに傀儡を演じていたのが、名目上は実権がある
ためにどうしたらいいのか、あたふたしているようなもんだろう。

幕末、明治維新の勤皇の志士にあたるのが、選手会側ライブドア、
楽天側であるからこそ、長き安定状態にあった旧体制側は、同じ過ちを
繰り返さず、負け逃げできるように芽をつみたがっているのかも、しれ
ないという、うがった見方もしたくなる。


今後の問題解決の糸口としては、経営者/機構側が、本当に来期の新規
参入の手続きが困難であるというのなら、その根拠として、新規参入の
ための具体的なロードマップを指し示すべきだろう。

ライブドアが新規参入の意思表示をしても、どれだけの時間を無駄にし
て、経営者側はともかくとして、機構側はまともに取り合おうとしな
かったのか。
自分たちの組織の危機に対する救い(かもしれない)手が差し伸べられ
ようとしているのに、それを無視し続けるというのはどういう了見なのか。

でもね、本来ここで問題解決のためにしなくちゃいけないことというの
は、今までただの傀儡だったNPB機構に問題解決能力を与えるために、
どういう風に骨組みを組み立てるか、という事なんじゃないのかな。

今回の騒動は、経営者側が一方的にプロ野球の枠組を変えてしまおうと
することに対して、機構側に当事者能力がないために、選手会側と、
そしてそれを支持するファンがカマキリの斧をふるっているのであり。

それを経営者側に簡単に踏み潰させないためには、今後もファンや一般
世論の後押という錦の御旗が必要なんだと思うのである。
プロ野球には、まだまだ生まれ変われる可能性があると思うのだ。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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