パラダイムチェンジ

2002年12月16日(月) サップとダバディ

最近、TVを見てて気になる人物が二人いる。
一人はボブ・サップ。そしてもう一人はフローラン・ダバディ。

ボブサップに関しては、もはや説明しなくてもいいだろう。
今年はじめ、PRIDEやK-1で注目されてきたなあ、なんて思ったら、
その後プロレス界にも参入。日本のマット界の中心になってしまった。

と、思ったらその特異なキャラクターが受けて、今度はバラエティ
などのTV出演も目白押し。この年末・年始にはなんと200本以上の
オファーが彼に押し寄せたのだとか。
来年はCM出演も果たすらしい。

彼がバラエティ受けするのは、ビーストというキャラクターが
把握しやすく、しかも製作者側の演出意図をちゃんと理解して
くれるからだろうと思っていた。

でも何本か、彼の出演した番組を見るたびに、そんな簡単に
割り切れない魅力があることに気がついたのだ。
つまり、魅力の奥が深いのである。

彼の魅力の秘密。それはなんといっても外見とのギャップの差
だろう。
彼の外見上から受ける印象は、「大男、総身に知恵がまわりかね」
という粗野で少し頭が回らなさそうな印象だと、思う。
例えるなら、マイクタイソンとかね。

でも、実際の彼は、非常にクレイバーで礼儀正しく、そして優しい
らしい。
今現在、ボブサップは多忙なスケジュールを一人でこなし、しかも
なんと電車で!移動しているらしいが、その移動中小さな女の子に
優しく接していたり、するらしい。

彼の真面目なインタビューなんてのを聞いていても、話の一つ一つが
聞いていて面白かったりする。
面白かったのは、格闘技とバラエティー出演のどっちが好きか?という
質問に答えた時だった。

曰く。バラエティの方が痛くないから好き♪なんだそうだ。
その外見にも関わらず、今まで喧嘩一つしたことなかったらしいし。

この前の「ウッチャンナンチャンの気分は上々」では、花やしきの
乗り物に乗らされて、ビビって涙目になってしまうサップ。
なんか、カワイイ。自分が女の子だったらマジで惚れているかも
しれない。

その他、日本のお笑い芸人が司会の、バラエティ番組を見ていても
もうボブサップを中心に回ってしまっている。すなわち食われる
事をもっとも嫌う芸人さんたちを食ってしまっている。

マット界に限らず、共演する人たちはしばらくは大変だろうなあ。
そんなわけで、当分ボブサップからは目が離せそうもなかったりする。


そしてもう一人、個人的になんか気になってしまうのは、
フローラン・ダバディ。あのトルシエ監督の通訳だった人である。

元々通訳時代から、その長身で長髪の外見や、どう考えてもトルシエ
以上に興奮して通訳している、その態度から興味本位で取り上げ
られる事もあった人物だが、この人も実際に話を聞いてみると
とても面白い。

元々、自分のアイデンティティって言うものをちゃんと持った上で
発言しているから、やっぱり話が面白い。
よくいる、ワイドショーのコメンテイターみたく、自分の意見だか
受け売りだか、よくわかんないようなコメントはしない。

そのコメントの中に自分という個性が、ちゃんと入っているのだ。
ちゃんと話を聞いたのは、NHKのトーク番組、「スタジオパーク」
だったんだけど、思わずその場で、メモを取ってしまった。

曰く、「差別は無知からやってくる」
「日本の若者は、純白で、包容力にあふれるから優れた国際人に
なれる可能性があるけれど、いかんせん知識が足りない」
「文化を、アイデンティティを大切にしましょう」
などなど、個人的には興味のひかれるコメントが多かった。

個人的に最も興味をひくのはフランス人なのに、謙虚で決して
傲慢ではないという点。

そして日本人の若者以上に、日本をリスペクトしている事。
小津監督や溝口監督、そして日本の近代文学について、ちゃんと
語れる若者が、日本にどれだけいるんだろう。

やはり魅力の奥が、深いと思う。
そりゃ白石美帆も、メロメロになるはずである。

ただし、日本のTV番組では、いまいちその魅力の全てを伝えている
とは言いがたいのがちょっともったいない。
自分を持っている分、TVという文法では、ちょっと扱いにくいのかも
しれない。

でもその一方でこうも思う。今TVに出てくる芸能人、文化人に限らず、
彼らほど、様々な引き出しをもっていて魅力的な人物って、どれ位
いるのだろう。

普段、私たちはどうしても人を外見的な、一方的な印象だけで
決め付けてしまうことが多いのかもしれない。

もちろん人は自分の思い込みからは、なかなか逃れられないんだけど、
今のTVに限らず、世の中がなんかつまらないと思うのは、そうした
単純なものの見方が主流となってしまい、更なる魅力を見つける
という観点が、欠けているからじゃないかとも思うのだ。

ノーベル賞受賞で、図らずも田中さんの朴訥な魅力が新鮮に映って
しまったように。

でもって、彼らは実は二人とも30前後、つまりは同世代だったり
するんだよね。
なんとなく複雑な気分である。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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