□■ あたしのお教室 ■□
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はい、おはよう。
昨日は弟くんから電話がなかった。 電話は一ヶ月に一回ぐらいにしてくれと留学事務局からお達しがあったのをきちんと守っているのか。 そんな暇がないのか。 便りがないのは忙しくしているからだろうと良いほうに解釈。
こないだ成田から帰った夜。 受験生の勉強があったので、休みをとらないでお教室をひらいた。
5年生からきている生徒たちなので、もう5年目の古参組。 気心知れた仲間だ。
Mくんはお兄ちゃん二人もうちの生徒だった。 3人兄弟とても気立てがよく、長男は美容師、次男は高校の食品科にすすんでいる。 町であったら「おー、せんせー!!」といって声をかけてくれる子供たちだ。
Mくん、冬休みの課題を持ってきていた。
「先生、オレ、にいちゃんと同じところの食品科に推薦してもらえそうやねん。それで、小論文かかんといかんのやけど。。 ねぇねぇ、自己アピールのところに長所っていうのがあるんやけど、自分では恥ずかしくて書けへんねん。 オレ、長所ってあるんかなぁ?」
「うーん、そらあるで。よっし、せんせが言ってあげるから、それを文章化しーな。」
「わ、ありがと」
「まず、Mくんは粘り強い。」
「いや、そんなことない。切れやすいって言われるで。」
「でもな、勉強してるときは人よりずっと長く考えるほうやろ、自分が納得するまで。」
「そっかー。。」
「それから、人の気持ちがよくわかるやろ。」
「へ?そうなん。」
「そやで。せんせがくたびれている時とかすぐわかるやろ。 いつも”みんな静かにせんか。せんせ、そろそろ怒り出すぞ”っていってくれるやん。」
「わはは!そういえばそうやった。」
「そうや。そういうことって大事やで。人の顔色を見るということと、人の気持ちがわかるってこと、違うんやから。 それは他の人にない良いところや。」
「うわ、なんか照れるやん。」
「あはは!」
「で、短所は?」
「・・・うーん、うーん、うーん。。。」
「せんせ、こまっとるみたいやな。よし、短所はみんなが来てからきくわ。 もうええよ、せんせ。」
「あは、こまっとる、っていうか、短所が見当たらんのやけど。」
Mくんはにこっと笑って作文書き始めた。
「せんせ、後でみてな。字の間違いとか。」
「うん、いいよ。」
「・・・せんせ、今日、空港行ったんやろ。 寂しかった?」
「・・・うん、ちょっとな。。」
「そうかぁ。。。」
Mくん、ありがとうね。 せんせにはきみたちがおるから、大丈夫。 10人も頭の痛い受験生がおるんやから、寂しがってる暇ないって。
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