□■ あたしのお教室 ■□
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はい。こんにちは。
九州の母から毎日電話がある。
「弟くんから今日は電話あった?地球儀を買ったのよ。ブリスベンってどこにあるん?パースってどこにあるん?あの子、飛行機の中で喘息大丈夫やったんやろうか。」
「あはは、大丈夫よ。ちゃんとマスクもたせたし。 ブリスベンは大陸の東の方。パースは西のほうよ。」
「あの子、一人で飛行機に乗ってパースにいくんやね。 だれか乗せてくれるんやろうか。迷子になったりせんやろうか?」
「そら、乗せてくれるよ。大丈夫。」
ばばってこんなに心配するもんなんだなぁ。 出発の日はずっとテレビを見ていたと。飛行機事故の心配をして。
「九州へも一人で来たことないのに。 いきなり南半球なんて。。」
もう心配のかたまり。笑。
「どうして留学したいなんて思ったんやろうね。 まだこないだまで中学生やったのにね。 でもね、おとうさん(父のこと)、15歳で満州に単身渡って数年くらしていたんやしね。おばーさん(父の母)、出航の時に見送りにいって、小さい頭が船の甲板のうえにちょっとだけ見えて、だんだん小さくなっていって、泣けて泣けて仕方がなかったって言ってたわ。」
「ふーん、、、そうやったんかぁ。」
「子供のひとり立ちはよろこばないけんのやけど、母親にしたら、辛いもんあるよね。」
「うん、、、そうやね。。」
「まぁ、あんたはしばらくゆっくりしなさい。心配はわたしがしてあげるから。」
父が生きていたら喜んだかなぁ。 自分と同じように外国に行ったことを。
毎日地球儀をくるくるまわしながら、母は、あーでもない、こーでもないと考えるんだろうなぁ。
朝、兄くんが「あいつちゃんと起きられたかなぁ。朝はめっちゃ弱いんやから。かーさんに何回も起こされてすごい機嫌の悪い顔して降りてきよったからなぁ。。。」
いつも二つのカップにミルクティーをいれて、テーブルに並べているのに 今日はひとつだけ。
「あいつがおらんと甘いもんがなかなかなくならんなぁ。」と兄くん。
「今のうちに好きなものいっぱい食べとき。 あいつ、いつも美味しいものは独り占めやったからね。」と私がいうと、兄くん、にやっと笑っていた。
そんな一日でした。
では、おやすみ。
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