初めて一人暮らしを始めたのは、社会人になってからだった。
大学生の頃は、一人暮らしをしていた友人をうらやましく思ってはいたが、 親に金を払わせてまで家を出ようとは思わなかった。 そんな理由から、とにかく早く就職し、自分の部屋を持ちたいと思った。
会社の寮は借り上げのワンルームマンションで、 僕の理想はほぼかなえられた。 6畳より少し狭い部屋に、大した荷物もなく暮らし始めた。
当然インテリアも考えた。 目指すは、生活感の無い、何も無い部屋。 だが、最初はテレビも無かったその部屋も、半年も経てば 雑誌や音楽機材で一杯になった。
自分が自由に使えるお金が出来て、ようやく一回りしたのだろう。 いま欲しいものは、お金で買えないものばかり。 そして身の回りのものは段々減らす方向に来ている。
だが、捨てられない服は部屋の隅のダンボールに入れられたままだ。
---
帰り道に、ちょっと妄想する。 自分はどこまで出来るのかわからないけれど、 やってみる価値はあるだろう、というような妄想。
歳を取ったのか、開き直ったのか、 自分の存在によって幸せになれる人が、 一人でも増えればいいと、最近本気で思うようになった。
当然、自分が幸せでなければ、人を幸せにすることなんて出来ないんだけれど。 でも自分が一番最後だ、というのは、友達が僕に言った言葉だけれど、 本気でそう思う。そういう性格なのだ。
|