Spilt Pieces
2003年12月12日(金)  進
同じようなことばかり綴ってしまうのは、迷いを拭いきれていない証拠。
「大丈夫、大丈夫」
そう言って、自分を励ましてばかりになってしまう。
私自身、考えがまとまっていない。
流れるように生きていくことと、留まって何か一つのことを貫きながら生きていくこと。
どちらも捨てきれずにいるから、望みが分からなくなる。
いつかきっと、きちんと道を定めることができるようになれたなら、そのときは今の自分を遠くから懐かしく眺めるのかもしれない。
だけど、まだまだ、全然答えには届かない。
一日や二日で答えの出るようなことなど、最初から考え込んだりはしないから。


一つの場所にじっとしていることが苦手だ。
誰かに依存されると逃げたくなる。
求めることはするくせに、我ながら自分勝手。
何となく、適度な距離を保っている関係がいいと願う。
それが、今まで留まるということを怠ってきてしまった自分の悪癖。
「ずっと」という言葉が苦手なのだ。
自分がその場所に拠りかかった瞬間、崩れてしまうのではないかと。
そしてまた、期待だけさせておいて、自分の気持ちが冷めてしまうのではないかと。
色んなものに、自信がない。
それを補うため、流れゆく自分を飾る言い訳なら、いくらでも出てくるのに。
多くの人と出会いたい、知らない世界を見たい、色んな価値観に触れたい、一つのところで安心した瞬間偏った考えへ向かうスタートを切ってしまっているのではないか、など。
たくさん、たくさん。


自分なりの背筋の伸ばし方を知っている人は格好いい。
柔軟性を持ちつつもスタンスを曲げない、そんな人間になりたい。
だけどまだ、確固としたものを持っていない私は、自分の持っていない強さと努力を知っている人を目指したくなる。
真似できない、だけど心の中にはひっそりと佇む。


弱さを弱さとしない。
流れたくないのに、帰る場所もあるのに、進みたい道のために敢えて困難な方向へ行く。
普段滅多に会わないけれど、貴重な友人。
いつも、勝てない、と思う。
きっと彼女は、「勝ち負けじゃない」と言って笑うだろう。
いつものように大人びた表情を、クシャクシャに崩して。


「あなたはあなたのよさがある」
彼女の言葉は自然体で、だからその分、いつだって重い。
普段ならお決まりの世辞文句を否定してしまうのに、彼女の場合には、照れつつも嬉しく受け取ってしまうから不思議だ。
駆け引きなしで、サラサラと本音ばかりを水のように話す。
思わず、強がる。
強がっていることも、どうせばれているのだろうけれど。
流れること、留まること、そんなこと、彼女は全く考えていない。
結果論として流れているだけ。
実に、彼女らしいと思う。


ややクサイ言葉を書く。
先へ進むために足を踏み出すことを勇気というのなら、きっと、足を踏み出すためにたまには「考えない」を実行することも勇気なのだと。
目を瞑って歩くのは、とても怖い。
目指すべきものは、遠くのゴールではなく、今目の前にあるゴールであるべきなのだろう。
遠すぎては、結局いつの間にか曲がってたどり着けない。
どんな道を選んでも、何の保証もない世の中で。
先のことばかり考えていたくないと思う。
時には、目先のことを。
すぐそこにあることばかりを。
人はそれを、刹那的すぎると批判するのだろうか。


父は、何も言わない。
母は、何も言わない。
2人とも、私が小さい頃からどんなにいい成績を取ったとしても、滅多に褒めてはくれなかった。
「自分のために勉強するのでしょう」
子供心に、納得する部分と寂しい部分があった。
成績が悪くなっても、同じこと。
両親は「勉強しなさい」とは言わなかった。
「遊びなさい」とも言わなかった。
ただ、私が自分の希望を叶えたときには、心からお祝いをしてくれた。
泣いているときも笑っているときも、私が何かを言い出すまではそっとしておいてくれていた。
早々に諦めてしまった就職活動についても、何も言わない。
休学したいと言ったときだけ、「できることなら今年卒業しておきなさい」と呟いた。
来年のことや希望を話しても、反対どころか賛成もしない。
何も考えてくれていないのかと思ったこともあるが、実際は気にかけつつも放っておく努力をするようにしているだけだった。


流れるとか、留まるとか、それは今いる場所などの限定的な意味ではなくて。
ただ、私がそういったことで悩めるのは、どこにも強制力がない、自己責任という名の自由があるからなのかもしれないと思う。
「お前の人生、好きに生きろ」
その「好き」を決めかねて、今まだ悩んではいるけれど。
父も、母も、弟も、親戚も、友人も、「どんな道であろうと自分で決めた道」と言って背中を支えてくれる。
先へ進めない自分は、ひどく周りを裏切っているような気もする。
でも、流れるも、留まるも、その真ん中も、いつか。
いつか、自分のスタンスで選べたなら。
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