| Spilt Pieces |
| 2003年11月14日(金) 結果 |
| 結果ばかりを考えていたら、先へなど進めない。 そのことを、頭では分かっているのに心はそううまくいかない。 いつだって、先に理由を考えてしまうのだ。 それが自分の悪癖なのだと、半ば諦めそうにもなる。 だけど、何もなくてもいいのかな。 自信も、力も、証拠もないものを信じるのは時折怖くなるけれど。 最初からどこにもない答えを探していたら、きっと、今という時間が流れて終わってしまう。 天性の無鉄砲さを持たない私。 だから、いつだって無理に「考えない」を実践しようとする。 足がすくんで動かなくなることは、悲しい。 自分が怖がりだと自覚しているから、「頑張って目を閉じる」ことが必要にもなる。 そう、思う。 サンタを主人公に描いた絵本を見つけた。 ほのぼのと優しいタッチで、ある女性に恋をしてしまったサンタの物語が綴られている。 「誰かを愛してはいけないのに」と悩む彼は、結局サンタの仕事をやめてただの「おじさん」になってしまう。 そしてその女性に愛の告白をするのだが、そこで物語は終了。 「サンタだったおじさん」の恋が叶うのかどうかは分からない。 想いを伝えたいというただそれだけのために、彼は仕事を失い人生を変えた。 ひょっとしたら、その女性には既に夫がいるかもしれない。 ふられてしまうかもしれない。 だけどサンタは、その結果など気にしていない。 誰かを愛するというその気持ちだけを大切にしている。 そのことがすごく、胸に痛かった。 彼はきっと、叶っても叶わなくても、確実に成長している。 自分だったら、何だかんだと言い訳をつけて無理に諦めてしまうだろう。 大好きだった人に彼女ができたとき、「おめでとう」と笑って言った。 その後、部屋で一人で泣いているのがやたら虚しかった。 気になる人に自分の友人のことが好きなのだと打ち明けられたとき、「応援するよ、頑張れ」と励ましていた。 やっぱりその後、何やってるんだろうと言って泣いた。 あの頃の私は、自分の気持ちを打ち明ける勇気もないくせに、自分は潔いのだと、相手のことを思いやっているのだと、言い訳ばかりを並べてた。 結果の分かっていることをするのは怖い。 「いい人」ばかり演じて、結局私は自分にとってのいい人にはなれなかった。 だけど所詮は「演じている」。 本心じゃない。 だからいつも、泣きたくなるのだ。 サンタは、それまでの生活も仕事への思いも全て捨てて、それでも叶うか分からない愛を願った。 これはあくまでも絵本の中の世界だから、現実はそうできる場合ばかりとも限らない。 だけど、結果やその先のことばかりを考えていては、自分が本当に望むことを逃してしまう気がする。 傷つくことを恐れるのは誰でも同じで、全く怖くない人なんてきっと殆どいないだろう。 でも、だからこそ、実現できる人を素敵だと思う。 言葉も、理論も、方法論も、小さな勇気には勝てないから。 場に合わせて自分の感情をコントロールできる人に憧れる。 それと同時に、大人になっても自分の感情に素直になれる人に憧れる。 ずっと、自分がどちらの人間になりたいと思っているのかを考えてきたけれど。 結局、どちらがあっても不十分なのだろう。 社会に向けるための顔を持つことは必要だけど、それが全てでは自分がいなくなってしまう。 かといって、自分の感情を剥き出しにするばかりではうまく生きていけない。 上手にバランスを取って、きちんと自分の望みを叶えていくための方法を探す必要があるのかもしれない。 予測は必要だ。 引き下がることもまた勇気。 そして自分と社会との折り合いのつけ方も大切だけど。 でも、結果を想定することはあくまでも先に進むためのものであって、足を止めることを目的とするのはあまり好ましくない気がする。 それが意図的であるにせよ、非意図的であるにせよ。 物理的な危険を感じたときに逃げることと、心理的に逃げることとは種類が違う。 理由や言い訳を並べることが、絶対的に必要とは言い難い。 ましてや実行をする前に。 今はただ、自分の将来も不透明で、他人と違う道を選ぼうとしていることを怖くも思う。 でも、できればもう言い訳をしたくない。 だから近頃考えなくなった。 「とりあえず先へ進もう」「その後のことは、また後で考える」 他人は、親は、私のことを行き当たりばったりだと言った。 だけど、元々じっくり考えてからしか動けなかった自分にとっては、その「行き当たりばったり」こそが大切のような気がした。 人が言うように生きて失敗しても、責任など誰も取れるはずがない。 ずっと「考えないで楽に生きるよりは、苦しくても考えて生きていく方がいい」と思っていたけれど、最近、選択肢はそれだけじゃないのかもしれないと考えるようになった。 「敢えて考えないことで踏み出す一歩」が必要なときもある。 だって、結果ばかり考えていたら、どこへも行けない。進めない。 私は、ずっと、自分の弱さを自覚したくなかった。 そして自覚した後は、開き直ってそれを言い訳にすることばかりしていた気がする。 言い訳をしていることに気づいて、認められるようになるまで長い時間がかかったけれど、そこから先は、とりあえず前に進む方法を見つけていきたい。 今はそれしか願えない。 サンタの想いは、叶っただろうか。 叶わなくても彼はきっと、絶望はしないんだろうな。 理由も言い訳も、何もなくていい。 心との喋り方を、いつの間にか忘れてしまっていた。 自分の望みさえ誤魔化してきた。 今はまだ、先に何があるのかなんて見えないけれど。 絵本の中のサンタのように、進んでいけたなら。 理由も言い訳も、何もなくていい。 最近、そんな生き方をしたいと、初めて本気で思うようになった。 ガムシャラに、歩いていきたいんだ。 |
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