| Spilt Pieces |
| 2003年09月09日(火) 今日 |
| すすきの穂が夕日に照らされて、それこそ黄金色だと思った。 理由のない痛みが胸を襲ってどうにもならなくて、だから意味もなく用事をサボって散歩した。 何が不満なわけでもない。 だけど、時折慢性的な感情の疼きがやってくる。 息苦しさが瞬時にして消えるのであれば最初から悩みはせず、だからあくまでも気休めの散歩なのだった。 たとえそれが結果として今あるこの感情を悪い方向へ進めてしまうのだとしても。 ただ、その場限りではそれを鎮めることもできる。 ゆるゆるとアクセルを踏みながら、夏と秋の混在した田園風景を進んだ。 誰かと一緒にいることで、誤魔化される部分も多い。 遊ぶことで満たされるはずもないけれど、慰めにはなるから。 近頃の私は他者との関係で悩むことはあまりない。 自分の中での問題や、納得できない部分を持つ自分自身への不満が主となり、その滑稽さと逃れようのなさに微妙な笑みを浮かべたくなるのだ。 誰の力をも借りられない。 自分との闘いと言えば格好はいいかもしれないけれど、実際はそんな易しい感じではないという気がしている。 外へと怒りや悲しみ・不満といった負の感情を向けている分にはいいにつけ悪いにつけ先へと進むこともできるが、内へと向いてしまうと立ち往生してしまう。 闘っているつもりもなく、ただ胸が痛い。 自分を変えられるのは自分だけだと、実感として知っているから苛々する。 他者は影響を与えてはくれるが、変化を生じさせられるのは自分だけだ。 問題になるほどの大きな「風邪」ではないけれど、誰もが抱える程度の鬱々とした気分というのを私も持っている。 だから、時折相手の都合も考えられないほどに誰かの傍にいたくなったりもするし、逆に一人でいたいときもある。 しばしば気まぐれだと言われる。 少し反発しながらも、本心では「なるほど」と思ってしまう。 感情の動く過程を、透明の箱に入れて持ち歩いているわけではないのだ。 いつだって不透明で、しかも鍵のかかった箱の中で起こる動き。 鍵を私は持っているが、いちいち開けてなどいられない。 数多くある人の心の「分からない」は、ひょっとしたらこの鍵の強度に関係しているのかもしれない。 こんな、変な発想。 一人でいるのは、時折マイナス思考に陥ってしまう私にとって必要なことだ。 何を考えることもなく、ただ騒ぐのもいい。 だけど夢から醒めた後のように、祭りが終わった後の現実の静かな響きのように、ぽかりと開いた穴が風を招き入れてしまうのが怖い。 だから、誰かの傍にいた後に必然的に訪れる白さの他に、最初から一人である時間を欲する。 仮に叫んだとしても、泣いたとしても、笑ったとしても、無表情を続けたとしても、誰かに心配をかけることもなく。 他者を信用していないのとはまるで逆で、大切だからこそ礼儀としての線を引くことだってあるのだと思う。 誰もが自分の空間を持っているように。 私は、自分のことなら基本的に秘密を作らない。 聞かれたら大抵何でも答えるし、自分から言うことさえある。 ただ、本心をどれくらい言っているかというとそれはまた別の話だ。 「本当に聞かれたくないことを聞かれないために、敢えて別のことを言う場合もある」と言ったら、後輩に「腹黒い」というなかなかな評価をいただいてしまった。 確かに、例えば誰かの嘘に気づいたとき、真っ向から戦うか気づかぬフリしてすり抜けるかわざと騙されてみるかと冷静に判断している私に、純粋無垢という言葉は似合わない。 だが、こんな腹黒さもあれば人前に立った瞬間真っ赤になって逃げ出してしまう部分もある。 人はとても多様で、自分のことさえ一つの枠に当てはめられない。 それを時折忘れそうになると、誰かの矛盾を責めたくもなり。 見えない「自分だけの空間」を持つ多くの人との付き合い方を、もっともっと学ぶ必要があるらしい。 そんなこんなで一人でいる時間が割と好き(むしろ必要)なのだが、ずっとそれでは心が持たない。 結局はバランスの問題なのだろう。 特に、理屈抜きの話で言えば、食事がそうだ。 今日、以前母と二人で行ったたこ焼き屋へ一人で行った。 店員さんも味も前と変わらない。 一人で十個ものたこ焼きを食べて、満腹にもなった。 前回は、母と数を数えながら半分にして、少し物足りなかった。 でもどうしてか(単純な理由だとは思うけれど)、嬉しさが何倍も違う気がした。 要するに、今回は心が満たされなかった。 不思議なものだ。 何だか日記がものすごい支離滅裂になっている気がするが、単に今日思ったことを思い出しながら順に書いていったらこうなった。 人の心の中ってわけが分からない、なんて、自分の書いたものを読み返しながらちょっと溜息をついた。 しかも何だかやたらマイナス思考が混じっているような。 一段落ごとに内容が違うと思えばまだ何とかなるんだろうか。 まあ、全部ひっくるめて今日という日だったということで。 |
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