Spilt Pieces
2003年08月13日(水)  寒い夜
寒い夜だった。
短パンに半袖という格好をしていて、午前三時。
窓くらい閉めなさいという母の言葉を思い出し、ベッドに潜り込みながらカーテンへと手を伸ばした。
身震いしていたくせに。
ひやりとした空気が肌に当たって、しばらくそのままぼーっとしてしまった。
三年前の、雪が降った夜を思い出した。
夏なのに、変なの。
それは、悲しいほどに寂しくて、綺麗で、現実感に溢れた時間だった。


私が日常的に繰り返している失敗は、得た感覚を言葉に分け与えることを知ってしまったから生まれた。
言葉に依存しているくせに、時折言葉を知らなければよかった、って思う。
もしも、言葉の中だけに留めておけたなら。


悲しいくらいに、リアルな夜。
多分、部屋の片隅で積み木遊びをしていた子どもの私を、起こしてしまった。
夏の冷気。
家の前の道を、新聞配達のバイクの音が通っていった。
眼鏡を外してぼやける視界の中で、赤いストップランプが光る。
遠くで救急車のサイレンが鳴る。
冷たい空気が肌を刺し、意味もなく身体を窓につけて祈った。
何をかは分からず、なぜかも分からず。
音が消えた。
街灯の明かり。
ひそやかに響く闇。
静寂がうるさい。
涙が出そうだと思った。


何となく、寂しかった。
そして、嬉しかった。


息が詰まるのは、懐かしい空気。
懐かしい、だけ。
他には何の意味もなく、誰かを思い出したいわけでもなかった。
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