Spilt Pieces
2003年07月16日(水)  比較
「あなたは永遠、ならば僕は永遠じゃない」
変な夢をみた。


「あなた」は私。
「僕」は私の前にいた。
人が生まれてくる場所があって、そこで「僕」は「あなた」が永遠の命を授かったことを知ったのだという。
憎しみの表情を向けられて、戸惑った。
彼は泣き、私も泣いた。


「あなたが永遠だということは、永遠じゃない僕はいつか死ぬということだ」
彼は泣きながら言った。
「君が永遠ではないということは、永遠と言われた私は生き続けなければならないということだ」
私は泣きながら反論した。
彼は、ずっと生きていたいのだという。
私は、死ねないことこそ苦しみだという。
本当に、変な夢だった。
それはあくまでもフィクションで、実際は私もいつか死ぬはずなのだが。
お互いに、相手がいることで自分の状況を嘆いている辺りがおもしろかった。


自分の死について。
考えたことがないわけではないが、あまりリアルなイメージは持っていない。
大切な人を失うことでできる喪失感。
心の中に空洞が開くということなのだと思った。
どこを探してもいない。
痛みを自覚するのにさえ、力が必要だと知る。
分かるのはただ、世界のどこにもその人がいないという事実だけ。
こんな私が、自分の死の場合に何を思えるというのか。
死を解した自分に出会うことはできないのではないか、などと思う。


「あなたは永遠、ならば僕は永遠じゃない」
永遠、などという言葉をしっかりと把握したことはない。
なぜなら自分が永遠ではないから。
自分の死と同様に、捉えどころのない概念。
その意味でいうと、「僕」が「あなた」を使って嘆いたというのも分かる気がする。
ひょっとしたら「僕」は永遠など理解していなかったのかもしれないけれど、「あなた」が永遠であると聞いて、それとは異なる自分の立場を飲み込んだのではないか。


周りには、曖昧な概念が多い。
数日前書いた「幸せ」というのも何だか分からない。
比較なしに「幸せ」を捉えられることもある。
ただ、それを常に感じていられるほど、私は人間ができていない。
時折比較しては、自分の状況を納得させようとするから。
その比較の対象は、具体的ではないことも多く、他人でさえない過去の自分を持ち出していることもあるけれど。


比較というのは不思議なもの。
どこか削って、どこか浮き上がらせて。
作業している間はどこがどうだか分からなくても、刷り上げてみれば分かる版画のように。
まっさらな木だけじゃどこに何があるのか分かりはしない。
永遠が分からなくも、永遠じゃないものがあれば分かるんだろうか。
変な夢。
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