Spilt Pieces
2003年06月25日(水)  空
何もかもが真っ赤。
空は全てを染めるが、時と共にその色を変える。
誰もがそれに従っていく。
空を舞う鳥も、地上から空を見上げる私も。
刻一刻と色を支配され、なのにそれが嫌じゃない。


色が弾ける。
同時に散りゆく、瞬きの華。
闇の中に飲み込まれていく。
溶ける空、受け入れる空。
そのタイミングが、絶妙。


夕焼け色の信号機。
帰宅ラッシュのストップランプ。
人工色が、勝つ瞬間。
頭上で花開いた、満開の曼珠沙華。
ハラハラと、その体をすり抜けさせて。
地上へ、還る。


空の半分、猛る血の美しさ。
空の半分、静けさ彩る紫黒色。
表現を知らない私を、笑う。
帳が降りてゆく過程を、ただ見るだけ。
空と空の競演に、手を伸ばすことさえ憚られ。
目を見開いて、脳へと記録。
いつかこういう風景を、忘れた時のために。


街が眠る準備を始める。
夜を描くための視覚的序章。
消えゆく華の余韻を僅かに留めて。
交じり合う、時間と時間の笑い声。
どこかから聞こえる泣き声。
何もかも飲み込んで、それでも容赦なく陽は落ちる。
咲き誇る、空。
どこからも見られる独壇場。


見えない光が、夜を支配する。
自分の体まで溶けていく錯覚。
怖くなって、だけど気持ちよくて。
両手を広げて、空に抱かれる。
叙情に満ちた官能。
自分がどこにいるのか見失う。
空と共に消えた体が、どこかから私を呼ぶ。


クシャミが一つ。
夏はまだだと、風が通りすがりに囁いた。
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