Spilt Pieces
2003年05月17日(土)  教師
しばらく日記を書くのをさぼってしまった。
忙しいときというのは、思うことは普段より多いのに書く時間が取れず、微妙に欲求不満。


昨日、教育実習の事前オリエンテーションに行ってきた。
意識したつもりもないけれど、生徒だった頃とやや目線が違うことに気付く。
特にうんざりしたのは、教師内での立場が楽しいほどによく見えるところ。
出世街道まっしぐらな人、上に媚びるタイプの人、口で「理解している」と殊更訴える人。
「生徒の気持ちになって」と言う人に限って、分かっていなさそうなのがおもしろい。
口で言わないと自分を制することができない人なのかもしれない、などと思った。


「新しい風を吹き込んで下さい、期待していますよ」
ホームルームでお世話になることとなったクラス担任の先生に言われた。
その直前、教育実習生受け入れ担当から
「皆さんは、学校のお荷物です、迷惑です。それを自覚して「お世話になる」という感謝の気持ちを常に持っていなさい」
と強い口調で言われたばかりだったので、お世辞だと分かっていても何だか嬉しかった。
本音と建前、頭では分かっていても、直接言葉で示されるか示されないかでは随分と印象が違う。
私がお世話になる先生に、弟が高校の頃教わったというので少し話を聞いた。
すると、「いい先生だよ」と返ってきた。
弟が教師を褒める言葉を、正直初めて聞いたような気がした。
ちょっとほっとする。


教科での指導にあたってくれる先生は、高校の頃はあまり好きになれなかった。
そういえば悪口を書いたような気もする。
それが、立場が違えば印象も違う。
かつてはきっちり何にでも線を引くような性格にうんざりしていたのに、それが指導を受けるとなるととてもありがたい。
好んで文句を言いたいわけでもないので、いい面はいい面として考え直そうという気になった。
資料などを借りて、真面目に勉強することにした。


教科指導についての打ち合わせが終わり、クラス担任の先生のところへ挨拶に行こうとしたら、「ついでだから一緒に来るか」と言われた。
何のことやら分からずついて行くと、クラスに紹介されることになった。
本来なら来週行われるはずのことで、予想していなかった。
というわけで、当然心の準備もできていない。
動揺しながら教室の隅で先生の話が終わるのを待つ。
ザワザワしていて、隣の席の人とおしゃべりを続ける生徒も多くいた。
先生は声を大きくして連絡事項を伝える。
「では」と話を切り出し、「教育実習生が来ているので紹介する」と、私の番。
教壇に立つと、教室がとてもよく見える。
それまで続いていたおしゃべりがピタリとやみ、物音1つしなくなった。
全員の目線がこちらに向いているのが嫌というほど分かった。
教室を右から左まで見渡しながら話をすると、目を向けたところの人と必ず目が合う。


「無理言ってごめんな」
冗談めいて笑いながら、帰りの廊下で先生が言った。
彼は自分の教育方針やら生徒との関係が現在どうであるかなどを話し、私に何をしてほしいのか明確に言葉で表現した。
「せっかくの機会だから、帰りのホームルームは3週間任せるよ」
てっきり一緒に教室に行くものと思っていたら、1人で行って来いという。
「心理学を学んでいるなら、せっかくだし心理テストでも作って盛り上げてやってくれ」
戸惑う私の肩をポンポン叩き、けらけらと明るく笑う。
ひょっとしなくても、私は先生に恵まれたのかもしれない。
熱心な教科指導、明るいクラス指導。
いいかげんな私には厳しい指導を受けられるのは勉強になるし、同じくいいかげんな私はクラスではのんびりと笑っていたい。


7クラス、14時間受け持つことになった。
何だか不安は多くあるけれど、とてもいい経験ができそうな3週間。
多くは年の離れていない高校生、教わることだらけの生活の中で、自分には何が伝えられるだろう。
自分という人間を見透かされるのではないかという恐怖感はある。
それは、自分が教師を見る目が妙に冷静なところからも推測できることだから。
ただ、それ以上に楽しみという気持ちの方が強い。
何ができるかなんて見当もつかないけれど、自分なりの精一杯が実践できるような実習になれば嬉しい、と思う。
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