2006年08月30日(水)  逆さが逆さに。
 
「今日ママがねー、病院行く日だからねー、ややちゃんの写真また撮られちゃうんだよ。そいでねー、まだ逆さまの格好だったらねー、ママとパパはちょっぴり悲しいです。ややちゃん、写真撮られるから今のうちに格好なおしときな。それじゃあ行ってきます」
 
と、玄関でお腹のややちゃんに話し掛けて仕事へ向かう。今日は妻が産婦人科に受診する日。ややちゃんが写真を撮られるというのは超音波検査を受けるということで、お腹の中のややちゃんに超音波検査だのエコーを受けるだの難しいこと言ってもきっとわからないので、写真を撮られるとソフトな表現で伝えることに意味がないとわかっていても、僕と妻の子供だからきっと理解できると意味を込めて愛も込めて。
 
もう妊娠34週なので、そろそろ逆子が直らないと帝王切開になってしまう。まぁ現代の医療では母子共に危険は少ないにしろ、腹を切ることに変わりないのだからこれは由々しき事態である。しかし直らなければ直らないなりに心の準備も必要である。毎晩「なおれー、元の位置に戻れー」なんてお腹をマッサージしても、毎晩逆子体操をしても、直らなければ仕方がない。立会い出産はできないけれど、それはとても残念なことだけど、ややちゃんが直らなければ仕方がない。ああ仕方がない。と、ややちゃんに聞こえるように未練がましい声を出しながらお腹に口をつけて話し続けていた。
 
「ややちゃん、元に戻ってた! 逆子なおってた!」
 
昼休みに携帯をのぞくと妻からメール。よくやったややちゃん。さすが僕らの子供だ。ギリギリまでヒヤヒヤさせて最後に一件落着というスタンスは僕の人生そのものだ。僕の子だ。本当にこの子は僕らの子だー。と、喜びながら自然に午後の仕事にも力が入り、「何、そんなニヤニヤしながら仕事して。財布見つかったのがそんなに嬉しいの」と看護婦さんに言われて、まぁそれも嬉しいけれどもっと嬉しいことがあるんです。うちの子の逆子が直ったみたいなんですよ。逆子が、直ったんですよー! と、スキップしながら病棟を巡回してたら会議の時間を忘れてて遅刻。婦長さんに叱られても終始ヘラヘラ。
 
飛ぶように家に帰り、って違った。ケーキ屋に寄って家に帰り、妻を抱き締めお腹の中のややちゃんに「でかした! だからケーキ買ってきた!」と、努力したから褒美をあげるという間違った教育方針の片鱗をちらつかせながら、ややちゃん逆子なおったパーティを妻と開催しました。
 

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