2006年06月17日(土)  何か買ってあげよっか。(後)
 
「何か買ってあげよっか?」
 
妻はゲームショップに来るたびにこの言葉を発する。そして僕はこの言葉になんともいえないトキメキを感じてしまうのである。何か買ってあげよっか? なんて魅力的なんでしょう。どうしてこんなに胸が躍るのかしら。と、最近この妻の言葉に関して考察していたのだが、僕は比較的貧しい家庭で育ってきたためか、親に「何か買ってあげよっか?」と言われたことがなく、しかし、何か買ってあげよっか? と言ってもらいたい欲求が潜在意識の中に残っており、それが妻の言葉によって意識の表面に浮かびあがってくるというのが仮説の一つ。
 
次に、十年以上にのぼる独居生活で、自分の物は自分で買うという当たり前のことを当たり前にしてきたため、「誰かに何か買ってもらえる」という可能性そのものを忘却していたというのが二つ目の仮説。あとは関心もないゲームショップに連れてこられてつまらない思いをしていた妻が、僕の「これいいなァ。これ面白そうだなァ」という独り言を憐れに思い、何か買ってあげよっか? と、優しい言葉を投げ掛けてくれたことが嬉しかったというのが三つ目の仮説。
 
そもそも僕は恋人に「何か買ってあげよっか?」と言われたことなどなかったし、そんなこと別段望んでもいなかった。でも、でもでも、たまには恋人に何か買ってもらいたいという欲求が、どこかに眠っていたのかもしれない。というのは代理行為で、僕はお母さんから「何か買ってあげよっか?」と言われたかったのだ。と、いささか分析が心理学的になってしまったが、例え欲しい物がないとしても、「何か買ってあげよっか?」という言葉に僕はメチャクチャときめいてしまうのである。妻に言われても、「ぃやややややや。ぼ、僕は見てるだけで充分なんだよ」と、動揺してしまうだけなんだけど。
 

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