2003年01月04日(土)  温泉旅行。
そこに意味があるとするならば、僕たちはただ、残り少ない正月休みを、僕にとっては今年初めての休日を満喫しようと、
 
そこに背徳とか、罪悪とか、いろいろ面倒臭いものは考えずに、
考えたとしても、追及せずに問責せずに、彼女は僕と一緒にお酒が飲みたくて、
僕も彼女と一緒にお酒が飲みたくて、そこに意味があるとすれば、ただそれだけで、
 
副次的に、主たるものに従属した位置に、観光ホテルが空いていて、
屋上には展望風呂、1階には露天風呂があって、ビールを買い込み、
誰から見ても、僕らはカップルのように肩を寄せ合い、
おそらく今年1番になるであろう豪華な料理を食べ、風呂に入り、酒を飲み、また風呂に入り、
 
「あなたたちは運が良いです。初雪の日に来るなんて」
 
ホテルの支配人が連休で鍛えられた笑顔で話す。
初雪。山奥の観光地に雪が降る。
僕たちの――僕はいつも仕事で、彼女は2年も付き合っている彼氏がいる――世界との隔たりを作るように、静かに雪が舞い落ちる。
 
「今夜は、積もるかもね」
 
料理を食べながら、外の景色を見て彼女が言う。
僕は3本目のビールを飲みながら雪と酒と温泉と、彼女について考える。
 
そこに背徳とか、罪悪とか、いろいろ面倒臭いものは考えずに、
考えたとしても、追及せずに問責せずに、露天風呂に入る。肩まで浸かり夜空を眺める。
午前0時。露天風呂には僕以外、誰もいない。
彼女は部屋に残り、テレビを見ている。もう寝てしまったかもしれない。
空からは絶えることなく温泉の上に、僕の肩に雪が舞い落ちる。
 
彼女の笑顔は可愛くて、本当に心から笑っているけれど、
時々見せる憂いに満ちた横顔は、本当に哀しんでいる。
理由はわかるようなわからないような。いや、わからない振りをしているような。
 
昨日、突然決まった1泊2日の温泉旅行。
雪が静かな音を立てて大地を覆い尽くす頃、僕たちは眠りについた。

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