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| 2002年12月20日(金) 今年の鈴の音も。 |
| 午後3時。仕事中の友人から電話。 「ねぇ、今から来てもいい?」 「いいって今仕事中でしょ」 「お願い、40分だけ寝かせて」 「寝かせてって……」 「何か買ってくるものある?」 「コーヒー。温かいの」 友人は某化粧品メーカーで働いている。 チーフとか何とか、とにかく少し偉そうな立場にいるみたいだけど 今日は他の店に営業に行って、その帰りらしい。 ドンドンドン。友人が部屋をノックする音。 アパートの下で電話してたんじゃないかと思うくらい早く到着。 「アパートの下で電話してたんじゃないか?」 「お願い40分だけ寝かせて。はい、コーヒー」 僕は部屋を温め、ソファーのシーツを直し、枕を渡す。 友人はすぐ横になりテレビの電源をつける。 「じゃあ僕はパソコンしてるから」 「待って〜」 友人は立ち上がった僕を両足で挟んで止める。 僕は仕方なく座りタバコを吸う。 「ねぇ、最近どうなの?」 友人は、「最近」の概念のサイクルが短くて 昨日「最近どうなの?」と言って僕がそのことに答えても その翌日も「最近どうなの?」と訊ねる。 そして僕はいつも「何もないよ」と答える。 僕たちの「ねぇ、最近どうなの?」「何もないよ」は 関西の「儲かりまっか」「ぼちぼちでんな」という会話と同じようなもの。 友人は僕の最近のことなんか気にしていないし、僕は友人に最近のことなど事細かに話そうとは思わない。 僕はいつも思うんだけど、この友人は昔からとても綺麗でお洒落で知的で料理も上手くて 少し高慢なところがあるけれど、その高慢も男性にとっては大抵 許容できる範囲であるし 男によってはその高慢に全力で応えてやろうと思わせるほどの魅力を持っていると思うけど いつまで経っても彼氏を作ろうとしない。 高校生じゃあるまいし、彼氏もしくは彼女がいるというステータスを重要視するわけでもないけど もっと、こう、自然に、偶然ではなく必然的に、友人には彼氏がいてもいいと思う。 そう思わないかい? 「いつまで経っても彼女をつくらないアンタに言われたくないわ」 前の彼女と別れて半年以上経つ。 前の彼女は別の彼氏ができて前の前の彼女も別の彼氏ができて前の前の前の彼女はもう結婚してしまった。 「はぁ……クリスマス、どうする?」 今年も僕たちの耳に鈴の音が他人事のように鳴り響く。 |
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