2002年11月19日(火)  泥沼に足を踏み入れたとき。
「今朝ね、あんまり腹が立ったからね、主人の弁当作らなかったの」
「で、どうしたんですか?」
「空の弁当箱にね、1000円札入れて渡したの」
「うへぇ、きついなぁ」
「きつくないわよ。1000円も入れたんだから」
「僕はいくら喧嘩してても、ご飯と梅干だけでいいから奥さんに弁当作ってほしいなぁ」
「ふん。こういうことは結婚しないとわかんないのよ」
「そりゃそうですけどね」
 
看護婦さんは新婚で、最近まで周囲の人が赤くなるくらいののろけ話をしていたけど
この頃は口から出るのは喧嘩の話ばかり。
そこまで言わなくてもいいじゃないかと周囲の人が心配するほど奥の深い家庭事情を話すのでヒヤヒヤしてしまう。
 
僕は昔から結婚話に関しては、そういう種類のことばかり聞かされるので
結婚に対しての夢とか希望とかが欠乏しているのかもしれない。
新婚6ヶ月で弁当箱に1000円札を入れられるような結婚生活なんて好んでしようとは思わない。
 
だけど1000円札を弁当箱に入れられたご主人にも否があるわけで、
こういうものは双方の問題だろうけど、問題だろうけど、
 
はぁ〜〜〜〜っ。
 
とひとごとなのに溜息をついてしまう。
不倫を経験した僕が言うのもなんなんだけど、やっぱり双方が互いに対するストレッサーになったらおしまいだと思う。
お互いが悪い意味で刺激しあって、悪循環やら泥沼やらそういうものに足を踏み入れると
抜け出すのは容易ではなくなるのである。
 
「だけどちょっとやりすぎちゃったかなと思って今夜はとっておきの手料理を作ろうと思ってるの」
 
だからそういう言葉を聞くと少し安心してしまう。心から幸せを願ってしまう。
 
「だから今日の夜勤代わって」
 
それはヤだ。

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