2002年10月17日(木)  感冒ロイヤルストレートフラッシュ。
休日。毛布を口元までかぶり天井を眺めていた。
頭痛、鼻水、咽頭痛、咳にくしゃみに倦怠感。熱を測ると37.5度。
感冒ロイヤルストレートフラッシュ。
僕の風邪の症状に欠けてるものは何もない。誰か助けて。
 
携帯が鳴る。
 
「ねぇ、トリートメント来てよ」美容師の友人だ。
「……」
「ねぇ、トリートメント来てよ」
「ゴホッゴホッ」
「今なら1500円よ」
「ゴホッゴホッオエッ」
「風邪ひいてるの?」
「……うん。ゴホッゴホッゴベッウェーッ」
「ねぇ、トリートメント来てよ」
 
歯を磨いて顔を洗って髭を剃って美容院に行った。
寝ていたって熱は下がらないし薬を飲んだって鼻水は止まらない。
そもそも家にいたって誰も心配してくれない。
 
「ホントに来てくれるとは思わなかったぁ」
友人は少し驚いた口調で言う。
あれだけしつこくトリートメント来てよと言っといてホントに来てくれるはないだろうと思った。
「ついでにカットもして」
熱があるのにカットも頼むという僕も馬鹿だと思った。
 
「さぁて、どこから切ろうかしら」友人が腕まくりをする。
「僕はノドから」
「あなたの風邪の症状を聞いてるんじゃないわよ」友人は笑いながらハサミを握る。
「私はハナから」
「あんたにも聞いちゃいないわよ」友人はもう1人の美容師にもするどく突っ込みを入れる。
「ゴホッゴホッゴホッ」
「ちょっと頭動かさないでくれない?」
僕は無理を押してまで来てるというのに友人は病人にとても厳しい。
 
この友人は5年ほど大阪の美容院に勤めていて、今年の初め鹿児島に帰ってきた。
帰ってきてすぐ年下の彼氏をつくってすぐ別れてすぐ別の男をつくった。
失恋の傷も癒えぬうちに新しい彼氏をつくることと病人に無理矢理トリートメントを勧めるということは
どこかの部分で共通しているような気がした。
 
なんだかよくわからないうちに髪の毛がツルツルになって
家に帰ると熱が38度に上昇していた。

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