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| 2002年10月16日(水) いと高く鳴らしけり。 |
| 布団の中で身体の芯から熱くなっているように感じるのは 隣に寝ているオーストラリアの小動物のような彼女の寝顔の所為じゃなくて なんのことはない。ただ風邪をひいただけだった。 喉が痛むのでキッチンへ行ってイソジンガーグルうがいをする。 僕は昔から「おーなーらー」と震えた声を出しながらうがいをする。 なぜ「おなら」なのかわからないけど、とにかく小さい頃からうがいをする時は「おなら」と決まっているのだ。 だから今日は僕の部屋に彼女がいることをすっかり忘れて うがいをしながら「おーなーらーおーなーらー」と言っているので 彼女は僕以上に青ざめた表情をして「ねぇ……何言ってるの?」と恐る恐る聞いてはいけない秘密を聞こうとするような口調で訊ねてくるので 僕も恥かしくなって「なんでもないよ」とその場をごまかした。 うがいをする時に「おなら」と言うなんてとても道理にかなっていない。 ちなみに「おなら」は「鳴らす」の鳴らに「お」をつけた女房言葉が語源らしい。 「お鳴ら」なんて漢字で書くとなんだか風情と古来の女性の心情を感じざるを得ない。 十二ひとえで小さな顔を隠して少し紅潮させながら 「いと高く鳴らしけり〜」 なんて言ってたのかもしれない。 ということが僕がうがいするときに「おなら」という理由に繋がるわけじゃないけど、 ただ僕の後ろに心配そうに立っている彼女の顔を見てそういうことを思い出しただけで 彼女もこれ以上深追いしなくていいのに 「ねぇ、今何って言ったの?何って言ってたの?」 なんてしつこく聞いてくるものだから 「キミは寝てる時によくおならをするから」 と言うと顔を紅潮させて何も言わなくなった。 ここで平安時代の女性みたいに「いと高く鳴らしけり〜」と言ったら 僕は彼女のことをもっと好きになったと思う。 リゾットと言い張ってたけど、どう見てもキムチ雑炊のようなものを作ってもらって2人で食べた。 |
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