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| 2002年09月21日(土) 箱詰めの夜。 |
| 人の思考や行動を分析することが好きな女性と食事に行った。 世の中には少なからず他人を分析することを趣味とする女性がいる。 相手を自分の常識や思考の限度に合った型にはめ込もうとする。そして安心する。 僕は相手が生み出したその見えない「型」にはめ込まれることは嫌いではない。 その相手が準備した「型」という「箱」に一度入ってしまえば、その後はその「箱」の範囲内で 自由に行動すればいいのだ。その「箱」の中で行われる行動は相手の許容範囲内だから (ある程度は)何をしても許される。 というわけで今夜も僕は彼女の箱に我が身を詰め込まれた。 「あなたはまず人の話をちっとも聞いていない」 「はぁ」 「話を聞いている振りして頭では全然別のことを考えてるの。わかる?」 「はぁ」 もはや「はぁ」しか言えない。 「そして仕事のこなし方もいい加減」 「ふむ」 「とりあえず身に降りかかってくる仕事を右へ左へ適当に捌いている感じ」 「なるほど」 「人はそれが仕事が早いとかテキパキしてるとか言うと思うけど、それは違うの。 感情がこもってないの。熱が感じられないの。なんていうんだろ。人間味が感じられないの」 これって優しい口調で罵倒されてるんじゃないかなと思ったけど、別に反論したって意味ないので 黙って彼女の熱弁を聞く振りをしながら頭では今度の休日の予定を考えていた。 「あと、あなたは人のことを表面的にしか接していない」 「はぁ」 「わかるでしょ私の言いたいこと。表面的っていうニュアンス。わかるでしょ」 ここで「わからない」と言っても結果は同じなので深く肯きながら「うん。わかる」と言う。 「人のことを深く考えないからその人に対する情報が少ない。 あなたと何度会っても少し初対面のような気がするのはそのせいなの。わかるでしょ」 彼女は「わかるでしょ」という言葉を語尾につけて、より一層「箱」を狭めてその「箱」に僕を詰め込もうとする。 「うん。わかるような気がする」 「わかるような気がする!?」 彼女は語気を荒げる。 「何にもわかってないじゃない。だって今日は……」 僕はそこで閃く。僕はいつまでも二の舞を踏む男じゃない。彼女はたしか10月生まれだったはずだ。 「今日は、キミの誕生日だろ」 「違うよ。明日だよ。そういう浅い考えが表面的ってことなの」 ちっ!! |
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