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| 2002年09月16日(月) 飼い主に似ることについて。 |
| 昨日の朝、目覚めると固く冷たくなっている永眠したハムスターのように 突然、僕の携帯が命を絶った。 電源を入れても充電しても振っても叩いても反応しない。 僕の携帯は僕が寝ている間に、静かに、得体の知れない謎の機能か何かで自らの電源を落とした。 今考えてみると、僕は携帯のことについて何も知らなかった。 得体の知れない謎の機能と書いたけど、そういうのも満更嘘ではないと思う。 当たり前の事実が日常に組み込まれると、その当たり前の事実についての思考が止まってしまう。 日常ってそんなものだと思うし、平和ってこんなものだと思う。 僕は頻繁に着メロをダウンロードしたり待ち受け画面を変えたりメールを書いたりしないし おまけに電話もあまりかけないし着信もあまり取らないので きっと僕の携帯は、ずっと前から自分の存在価値に疑問を持っていたのだろう。 携帯に冷たくあたり過ぎたのかもしれない。 これからは出掛ける時に携帯も持っていくから メールだってちゃんと返信するから 目覚まし時計機能ばかり使わないから 戻ってきてくれ。あの時刻しか表示されていない無機質な待ち受け画面をもう一度見せてくれ。 それにしても携帯の電源が切れている夜はとても静かだ。 大袈裟な表現かもしれないけど、世の中で1人取り残されたような気分がする。 今や時代は、携帯のアンテナとアンテナを通じて人間関係を保つ時代。 たった一つの家電の故障で、人間関係の終局も訪れかねない。 今日の朝、やはり携帯は止まったままだった。 朝陽に照らされた僕のauの携帯は、着せ替え機能以外の機能を全て失っていた。 近所のauショップに歩いて行く。 カウンターで僕の隣に座っていた男性はものすごく理不尽な理由でクレームをつけていた。 「彼女に消されたメールは戻ってこないのか。今は彼女は反省している。 東芝の新機種に変えて欲しい。この前の受け付けの女性と違う」 それは支離滅裂で荒唐無稽なクレームだった。auの店員って大変だ。 というわけで僕は極めて系統立った説明に終始しようと思う。 「すいません。昨日の朝から携帯が全然動かなくなったんですけど」 「はい、しばらくお待ち下さい」 店員の女性が僕の携帯を手に取り、電源ボタンを押す。 ピーー。 「はい、電源つきましたよ」 嘘やん。 |
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