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| 2002年08月28日(水) 少々遅めの誕生日プレゼントに兄の苦労を込めて。 |
| 彼氏と同棲している妹が僕の職場に来た。 「お兄ちゃん、部屋の鍵貸してよ」 妹は外来受付の窓から手を差し出す。小学校の頃、廊下で妹と擦れ違うととても恥かしかったものだが 職場に妹が来るというのも、少し恥かしい。 「どうしたんだよ急に」 「近くまで寄ったからアパート行ってみたら鍵閉まってるし」 「当たり前だろ。お前の都合のいい日に休みってわけじゃないんだ」 「わかってるわよ。だからこうして職場まで来てるんじゃない」 僕はロッカーへ部屋の鍵を取りに行く。そして気付く。7月26日が妹の誕生日だったことを。 「そういえば、誕生日おめでとう」 僕は外来受付の窓から手を伸ばして妹に部屋の鍵を渡す。 「遅いわよ。電話も、メールもくれないなんて」 僕は人の誕生日をなかなか覚えられない。例えそれが妹であっても。母の誕生日だって知らない有様だ。 「で?今日はいつまでいるの?」 「う〜ん。夕方には帰ろうかなって思ってる」 「わぁ。それは、残念だ。僕は7時まで仕事なんだ。誕生日プレゼントを、渡そうと思ってたのに」 「ホント!?」 僕はその時点でまだ誕生日プレゼントを買っていなかった。 仕事帰り妹に電話をする。 「今どこにいるの?」 「まだお兄ちゃんの部屋よ」 僕は苦い顔をする。妹はてっきり帰ってしまったと思っていた。 「そ・そうか。じゃ、今から帰るから」 と言って電話を切って、車のハンドルをアパートと反対の方向へ切る。 行き付けの雑貨屋に寄って、誕生日プレゼントを物色する。 妹は彼氏に夏物のバッグを買ってもらったと言っていたので、秋物のバッグを買った。 少々高めだったけど、彼氏には勝ったと思った。勝負する時点で間違えてると思うけど。 誕生日プレゼントのバッグを無理矢理自分のバッグに入れた。 「おかえりー!」 アパートに帰ると輝かんばかりの笑顔で妹が待っていた。 僕はなんでもない顔をしながら自分の部屋に行き、押し入れをわざとらしく大きな音をたてながら 開けたり閉めたりして、妹に聞こえるか聞こえないかの声で「あった」と呟き、 妹にバレないように自分のバッグに押し詰めてあった誕生日プレゼントを取り出した。 「はい、誕生日おめでとう。ようやく、渡すことができたよ」 「ありがとー!開けてもいーい?」 妹は輝かんばかりの笑顔でプレゼントを掲げる。 兄の苦労も知らずに。 |
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