2002年08月24日(土)  音。空気。臭い。それも親密な方向で検討。
「しっ!静かにして!テレビの音も、全部消して!」
 
彼女は突然そう叫ぶ。午前1時。空き巣でも、侵入したのだろうか。
僕はソファーの上で座り直し、両手を膝の上に乗せ、息を呑み、全神経を耳に傾ける。
遠い道路でトラックが走る音。自転車をこぐ音。
もっと耳を澄ます。雲が流れる音。月の光の音。星と星が重なり合う音。
 
プッ。
 
「ははっ。やっと出た。ごめんね。窓開ける?」
 
てめぇ。人前で、屁をするとは、何事だ。
恥ずかしさなど臆面も見せず、それどころか屁をするという事実を予告してアピールするという卑劣な手段。
僕はこれでも男でキミはそれでも女なんだ。
 
「何よ。それじゃあ女は屁をしちゃいけないっていうの」
 
僕は逆ギレなんかに便乗しない。断言しよう。女は人前で屁をしちゃあいけない。
考えてみたまえ。僕たちは非常に微妙な時期なんだ。
独身の男性と女性が同じアパートで深夜1時までビールを飲んで話をしている。
この事実が立証する意味を考えてみるんだ。深夜2時にはお互いどうなっているかを考えてみるんだ。
 
「わー。イヤラシイ」
 
イヤラシイも何もあるもんか。僕はもうそんなことは考えてないよ。
さっきまでの親密な空気は一変して今夜の食事が消化された空気で充満してるじゃないか。
今夜のエビフライのことを考えながらセックスなんてできっこないよ。
 
「じゃあ、帰る」
 
えー。ちょっと待ってよ。時計を見なよ。午前1時。
イヤラシイこと考えている人たちが街中をウロウロしてる時間だよ。危ないよ。
 
「街中の方が安心だよ。空気も、綺麗だし」
 
空気も、って。汚したのはキミだろう。
僕は心の空気清浄機でせっせと親密な空気を作っていたんだ。
帰るだなんて、よしてくれ。僕はもうお酒も飲んでるし、運転はできないよ。
 
「じゃあ、布団敷いてよ」
 
何するの?
 
「親密な空気を作るのよ」
 
うほー。

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