2002年07月29日(月)  兄26歳。妹23歳。
妹と食事に行った。
妹と2人で食事に行くなんてそう滅多にあることではないので
滅多に頼むことはないコース料理をオーダーした。
 
「そもそも今日行くなんて約束したか?」
僕は白ワインを飲みながらハンチングをかぶり直してそう言う。
「お兄ちゃん声大きいわよ。言ったじゃない29日に行こうって」
妹は今日買ったばかりだというミュールの紐をしきりに気にしながらそう言う。
「言ってない」
「言った」
「言ってない」
「言った」
兄妹喧嘩なんて場所を変えたからって内容はそう変わり映えするものではない。
 
「あ、お誕生日、おめでとう」
妹はバッグから綺麗にラッピングされたプレゼントをテーブルに出した。
「お。ありがとう。開けていい?」
「そういうのって開けるために買ってるのよ」
ちっ。しばらく話しないうちに一丁前な言い回し使いやがって。
 
それでも僕は嬉しくて、だけど顔は気乗りしない表情をしてラッピングを剥がす。
 
「・・・おい。なんだよこれ」
「ハッピーバースデーだよそれ」
ちっ。しばらく見ないうちに妙な文法の言葉を使いやがる。
 
マイルドセブンライト 1カートン。
 
「誕生日プレゼントに煙草贈るやつなんてあるか。そもそも1カートンって煙草いくつ入ってるんだよ。
10個?え?10個ってことは2500円?おい。2500円もするんだったら
もうちょっとましな物買ってくれよ。肺がんで、死んじまうじゃないか」
「美味しいねこれ」
「おい人の話をよく聞けよ僕より先に食うなよしかもそれ鶏肉じゃねぇよサーモンだよ」
「お前の舌はふし穴か」
「お願いだからワケわかんないこと言うなよ言葉の使い方間違えてるよしかもそれ唐辛子じゃねぇよ赤ピーマンだよ」
 
久し振りの兄妹の食事は、実家の食卓とさほど変わらない会話をしながら
あっという間に2時間が過ぎた。
デザートのアイスを食べ(妹は僕の分まで食べた)お勘定をして(僕は妹の分まで払った)
家へ戻った。
 
帰り道「はい、お兄ちゃん。誕生日おめでとう」
慣れないワインを飲んで少し上機嫌になった妹はバッグから小さなプレゼントを取り出した。
 
こういう妙な演出をするところは、僕にそっくりだ。

-->
翌日 / 目次 / 先日