2002年07月09日(火)  作為的な運命について考えてみた。
職場の1つ上の先輩が七夕の日に入籍したという話を聞いて、
いよいよ僕は狼狽して焦燥して、仕事中にも関わらず思い立ったように席を立ち、
白衣を脱いで、鬼気迫る表情でレンタルビデオ店に向かった。
 
七夕に入籍するなんてなんてロマンチック!
まぁ、だけどね、七夕の意味を考えるとね、1年に1回しか心が通いあわないんだよ。
なんてチクリと皮肉ってみたかったが、相手は先輩で、いつもクールに怒るのでそれは控えることにした。
 
だけど僕もそんなロマンチックな事を経験してみたい。恋愛をしてみたい。そしてそれを成就させてみたい。
ロマンチックな出来事を喚起するにはどうしたらいいのだろうか?
答えは簡単。ドラマチックな出逢いをすることだ。だから僕は今こうしてレンタルビデオ店に向かっている。
 
レンタルビデオ店の自動ドアが開くと同時に僕は気持ちを引き締めた。
そしてざっと周囲を見渡す。ドラマチックな出逢いには憂いに満ちた瞳をした女性がよく似合う。
だいたいの見当をつけ、ビデオを探す振りをして憂いに満ちたような女性の横に立つ。
この女性がお目当てのビデオに手を伸ばしたと同時に僕もそのビデオに手を伸ばし
運命的な2人の手はそっと触れ合うことになる。2人の手の先には『タイタニック』が・・・。
 
なんてね。大失敗。憂いに満ちた瞳をした女性は平日昼間のツタヤには興味ないらしい。
僕は颯爽とツタヤを出て、その足で海へと向かう。
 
7月の海。ヒマワリのように目を輝かした女性は今年流行のフリル付きのビキニを着て
大きな浮き袋に乗って、ユラユラと海を漂っている。
ドラマチックな夏の出逢いは今年流行のフリル付きのビキニを着た女性がよく似合う。
とそのとき、突然彼女は手足を激しく動かし出す。何が起きたんだ!
岸に立っていた僕はTシャツを脱いで沖で溺れる女性の救出へ向かう。
足がつった女性を僕が釣るんだ。なんてドラマチック!
 
なんてね。大失敗。7月の海は台風6号上陸前。
今年流行のフリル付きビキニを着ている女性は台風上陸前の海では泳がないらしい。
むしろあまりの波の高さに僕の命まで危険にさらされる始末。
 
作為的なドラマチックって結構難しいんだね。

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